英BBC「日本は未来だったが、過去から抜け出せずにいる」
英BBCは昨年1月、「日本は未来だったが、過去から抜け出せずにいる」と題する記事を掲載した。東京特派員のルパート・ウィングフィールド=ヘイズ記者が著したこの記事では、日本がかつては未来を象徴する国であったが、現在は過去の慣習や技術に縛られていることが指摘されている。
ヘイズ氏は「ここは世界第3位の経済大国だ」と称え、「平和で豊かな国で、世界一の長寿、世界一低い殺人率、政治的対立の少なさ、強力なパスポート、世界一の高速鉄道網である新幹線がある」と、日本で実感した生活水準の高さを語る。そのうえで、鋭い視点で不合理を指摘している。
免許の更新手続き一つを取っても、日本の官僚主義を感じたという。日本で運転免許の更新といえば、免許センターへ出向くことが常識のようになっており、さらには優良運転者でも30分、一般運転者では1時間の講習を受ける必要がある。
この講習は形骸化しており、多くの参加者が眠ってしまうほど退屈なものである、と同記事は指摘する。ある受講者は、退職した交通警察官の受け皿として用意された雇用創出策である、との私見を漏らしたという。
至る所で非効率な「官僚主義」が根付いている
アメリカやイギリスでも免許の更新という考え方はあるが、高齢者や違反者を除き、多くは免許センターへ出向く必要すらない。州にもよるが、オンラインや郵送で手続きを完結できるのが一般的だ。当然、基本的に講習を受ける必要はない。
日本の講習システムは、交通安全の啓蒙になっている側面があるため、まったくのムダとは言い切れない。だが、諸外国の仕組みと比較すると、免許センターへ通うことが当然のようになっていることなど、非効率が目立つのも事実だ。
FAXやハンコから、現場に足を運んでの免許更新まで、職場や日常生活の至る所に非効率なプロセスが潜む。労働生産性を高め、国際競争力を上げ、ひいては賃金を向上するうえで、国や企業のレベルで変革すべき点は多いだろう。