団信に加入しても債務はゼロにならない
③返済途中で債務者が死亡するリスク
住宅ローンには、返済途中で債務者が亡くなるリスクもあります。そのようなリスクに備え、住宅ローンを契約する際には団体信用生命保険(団信)に加入するのが一般的です。団信に加入すると、債務者が死亡または高度障害状態になった場合、保険金で残りのローンが清算されますから、以降の返済は不要となります。
前述のように、連帯保証型は債務者のみが団信に加入するため、単独ローンと同じです。しかし、ペアローンや連帯債務型の団信は、単独ローンにはない注意点があります。
ペアローンは契約が2本なので、夫婦それぞれで団信に加入することができます。しかし、夫婦のどちらかに万が一のことがあった場合、その人の住宅ローンは消滅しますが、残された夫または妻の住宅ローンは残ってしまいます。同様に、連帯債務型も一部の団信を除き、住宅ローンが残ってしまいます。
たとえば、夫が3000万円、妻が2000万円のペアローンを組んだ場合、返済開始直後に夫が亡くなると、3000万円のローンはゼロになりますが、妻の2000万円は残ってしまいます。どちらが亡くなっても残高をゼロにしたい場合、夫婦それぞれが、相手のローン残高を保険金額とする生命保険に加入する方法があります。
「万が一の時はチャラ」の団信も登場
そこで、昨今のペアローン人気を背景に、夫婦どちらに万が一のことがあった場合でも、ローン残高がゼロになる団信が相次いで登場しています。
カーディフ生命は2024年6月から、PayPay銀行や地方銀行向けに「ペアローン連生団信」の提供を開始し、みずほ銀行は7月から「ペアローン団信(ペアローン利用者向け連生団信)」の取り扱いを開始しました。
従来の団信には金利の上乗せがありませんが、上記いずれの連生団信も、住宅ローン金利に0.2%が上乗せされます。とはいえ、「夫婦どちらかに万が一のことがあれば住宅ローンはチャラ」のインパクトは強く、とても魅力的な商品と言えます。しかし、大きな落とし穴があることを知っておかなくてはなりません。