IT、建設業界などから“転職人材”の依頼も
退職代行サービスの利用者急増に伴い、就業規則に「退職代行を使って退職することを禁止する」といった内容を採用する企業も出ています。退職代行を禁止して人材の流出を防ごうとする企業に対し、谷本さんは「職場環境を改善して労働者が働きたいと思える職場であれば、そもそも退職代行なんて使わないですし、退職もしません。力を入れる矛先が間違っていて悲しいです」と思いを語ります。
今後、退職代行をおこなう企業がさらに増えるのではないか、と予測する谷本さん。
「このまま退職代行が増えていくのは、社会のあるべき姿ではないと私たちは思っております。退職代行を使った退職者が増えることによって、企業側は自社の労務関係や職場環境を改善しなければならないことに気づく、そして労働者が退職しないような職場を作っていく。そうすれば自ずと退職代行はなくなるのかなと思います」と呼びかけます。
谷本さんの願いは、退職代行を必要としない社会の実現です。
一方、退職代行モームリには退職者が集まるとして、IT、建設業、運送業といった人手不足の企業から、人材紹介の依頼が10社以上から寄せられています。
「退職代行で社員に辞められて困らない会社はないと思いますが、退職代行から電話が来たということは、悪い職場環境になっているのではないかという“シグナル”だと気づくことが、企業にとって大切なことなのかもしれません」と後藤記者はコメントしました。