森友哉は「とらえる能力は間違いなく歴代ナンバーワンです」

準決勝で対戦した名将・馬淵氏が、「藤浪君は球威があった。かき回すにも、塁に出られなかった(※1)」と白旗を揚げるほどだった。

さらに、決勝の光星学院では、準決勝までのチーム22打点のうち17打点を稼いだ田村龍弘(現・千葉ロッテマリーンズ)と北條を相手に、藤浪は2つの三振を奪うなど8打数1安打に抑えた。

連戦の疲れが見え始めるはずの最終回に、自己最速タイの153km/hを記録。最終的には、14奪三振2安打完封勝利で春夏連覇を飾る。藤浪は春から成長を遂げて、この甲子園では圧巻のピッチングを見せた。ストレートはもちろんのこと、変化球も高校生離れしており、プロ入りから3年連続で2桁勝利を記録するのもうなずける内容だった。

森は、1年秋から正捕手として出場しており、秋季大会では打率.571、3本塁打、10打点を記録し、脅威の打率5割超えをマーク。さらに、2年生時と3年生時を合わせた甲子園の通算成績は、打率.473、5本塁打、11打点。U-18にも2年生から選ばれており、2年生の時は、打率.323、1本塁打、2打点。3年生の時は、打率.406、1本塁打、15打点を記録した。

西谷氏いわく、そのバットコントロールは「コーチ時代から含めると、大阪桐蔭で指導して20年になりますが、とらえる能力は間違いなく歴代ナンバーワンです(※2)」と言う。

大阪桐蔭といえば中村剛也たけや(現・埼玉西武ライオンズ)や西岡剛、平田良介(元・中日ドラゴンズ)、中田翔(現・中日ドラゴンズ)などの錚々たる野手を輩出しているが、それらの選手と比較しても森が上とコメントしている。

私が目視していて感じる森の凄さは、高校時代からプロ入り後の現在までほとんどフォームが変わらないまま、プロ野球選手の中でもトップクラスの成績を残している点だ。多くの選手は、プロ入り後にフォームをプロ仕様に変えるが、森の場合は高校時代には既に自分のフォームが完成していたといっていいだろう。

森が打席に立った後、後続の打者に相手投手のボールについて共有をするも、それは「あてにならない」と、大阪桐蔭の同僚が発言するほど、高校生離れした選球眼も兼ね備えていたため、高校生時点でプロ級だったと言っても過言ではない。

森友哉のダイナミックな打撃(写真=Jeffrey Hayes/CC-BY-2.0/Wikimedia Commons

※1 『週刊ベースボール増刊 第94回全国高校野球選手権大会総決算号』P31、ベースボール・マガジン社、2012年
※2 「大阪桐蔭歴代イチのミート力。森友哉は低身長、短い腕でもカッコええ」web Sportiva、2019年6月20日