5人の部下が「自分の半身」の力をつければ2倍の成果に

そういう人であれば、次は100人を任せても成果を出せると考えられます。マネジャーは、自分個人の結果よりも、チームでの結果を最大化することを優先すべきです。ある程度の規模になると、たとえば営業チームであれば自分で全部の顧客に営業できるわけではありません。

そこは仕組みを作って、みんなに売ってもらう必要があるのです。仮に、5人の部下を持つマネジャーがトッププレーヤーとして1億円の売上を上げるとしましょう。そして部下5人の1人あたりが出せる売上が1000万円しかなければ、チーム全体の売上は1億5000万円くらいです。仮に同じような部下の数が6〜8人に増えても、せいぜい2億円くらいまでです。これでは、売上が拡大していきません。

しかし、5人の部下がトッププレーヤーの営業の仕組みを理解して実践したことでそれぞれがトッププレーヤーの半分の5000万円まで売り上げることができるようになれば、マネジャーが5000万の成果でもチーム全体の売上は一気に3億円になります。

つまり仕組み化によって5人の部下がトッププレーヤーである自分の半分の実力を身につけることができれば、自分一人が頑張ってチームを引っ張っているときよりも2倍くらいの成果を出すことができるのです。

写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

自分の調子が悪くなってもチームの業績は安定する

また、自分だけが頑張ってチームの成果を維持しているのでは、部下が育ちません。その結果、部下たちも成長している実感がなくて辞めてしまうかもしれません。そうするとチームとしての業績が下がります。

トッププレーヤー自身にも波があるでしょう。トッププレーヤーである自分の売上が厳しくなると途端にチームの業績が悪化します。つまり、1人のトッププレーヤーの調子の良し悪しがチームの成績の良し悪しに連動してしまい、業績が安定しません。

しかし部下の5人が安定して成果を上げていれば、自分一人の調子が悪くなってもチームの業績を不安定にさせません。このように、組織の成果を上げるためには仕組み化が重要なのです。1人のスタープレーヤーに依存するのではなく、チーム全体で結果を出せる仕組みを作ることが、マネジャーには求められています。