おにぎりセールなら「10%引き」より「100円均一」が正解
「セブン‐イレブン」生みの親である鈴木敏文さんも、消費者に安さを伝えるには商品によって表現の仕方を変えたほうがいいと、その著書の中で語っている。
例えばおにぎりのような低価格の商品の場合、「10%引き」ではピンとこない。それより「100円均一」の方がお客に刺さると言うのだ(鈴木敏文の『実践! 行動経済学』より)。
逆に、万円単位の価格が高めの商品だと、1000円引きと言われるよりも「10%引き」の方がお得に感じる。これも前述した「フレーミング効果」の一種だ。
他にもこんな例がある。「消費税値引きセール」と「10%値引きセール」、どっちが買いたくなるだろう。値引き率は同じ10%のはずなのに、消費税を取りませんよと聞けば、「これはトクだ、ぜひ買っておかなくては」と心が動くのではないか。どんな表現を使えば、その気がなくてもつい財布を開いてしまうか、小売り側は常に考えている。
節約好きを惑わせる「ポイント還元」の落とし穴
また、表現を変えることで成功している身近なものがある。おなじみ「ポイント」だ。
節約好きならポイント還元を見逃すことはできない。ネットショップでもリアルの店舗でも、クレジットカードでも決済アプリでも、どこでもポイント還元があたりまえ。キャンペーン期間に利用するともれなく100ポイントがプレゼントと聞けば飛びつくだろうし、期限切れが迫っているポイントが50ポイントありますと通知が来れば、絶対に使わなくてはと慌てる。
しかし、この100ポイントや50ポイント、そんなにすごい数字だろうか? ポイントを円に直してみれば、1ポイント=1円なら100円と50円であり、急に頭が冷えるのではないか。これぞまさに「フレーミング」を変えたことによる錯覚だ。
大きな数字は消費者を惑わす。お金を確実に育てるためにも、その数字の意味、条件、そして本質を、正しく見抜くことは欠かせない。