人生の大きな岐路での意思決定は直前まで行わない

短いスパンで商品を開発し、素早く売り切るというのが、成功確率の高い方法なのです。長期的な視点からの商品開発が悪いわけではありませんが、開発途中に状況が変わることも多いのです。

同じようなことが人生設計にもいえます。

確かに人生を長期的に設計すれば緻密ちみつになるでしょう。けれども、長期計画の途中で社会状況は大きく変わります。

出所=『はかどる技術

私のことでいえば、そもそも私が高校生や大学生のときには、物流を大学で教えている先生なんてほとんどいませんでした。物流の産業的な注目度も、今とは比較になりませんでした。物流の専門家になるなんて予感すらできませんでした。

実際、AIの飛躍的発達で、これまで花形だった産業が斜陽産業となる可能性は捨てきれません。人間しかできなかった職種がAIにとられてしまう時代となるのは確実です。

ただし、人生に無計画で臨むというのもリスキーでしょう。そこで対策としては、「人生の大きな岐路での意思決定は直前まで行わない」ということになります。ここでいう人生の大きな岐路とは、就職、転職、副業、起業、結婚、昇進、資格取得などです。

同時に「自分は人生設計を長期的に行っていないからダメだ」というバイアスは持たないようにするとよいでしょう。

長期的計画をしっかり練るのは非常に難しい

それでは、人生設計をいかに短期的に考えていくべきかを早速考えてみましょう。

多くの人は、人生設計を立てたかどうかにかかわらず、大学を卒業して、会社に入ったあたりで、将来の目標を見失うと思います。

というのも、高校くらいまでは、まずは有名大学入学が目標になり、大学では就職先を選ぶことが主眼となるからです。

したがって、会社に入ると、「こんなはずじゃなかった、会社にだまされた」という気持ちになるかもしれません。会社に自分の将来を託して就職したのに、不満を会社のせいにするのもいかがなものかと思いますが、よくある話です。

それはともかく、やっぱり会社は自分の夢を叶える場ではないと、退職届を出すことにもなりかねません。

すると、「人生設計を長期的にやらないとダメだよ」と説教されたり自覚したりします。

しかし、長期的計画をしっかり練るということは非常に難しく、それは日本の首相になりたいとか、世界一の名医になりたいとか、ベストセラー作家になりたいとか、そういうレベルのときに考えることかもしれません。