栃木県内で運転中に「ラーメンの看板が多い」と思った

研究を主導した松薗講師は、今回男女ともにワースト10にランクインしている鹿児島県で生まれ育った。大学卒業と同時に24歳で鹿児島を去り、初期研修は秋田県、その後岡山、大阪、京都と赴任し、8年前から栃木県で診療を行っている。

「2府3県と居住し、就業する中で同じ日本という国にありながら、各地域で方言も全く違う、習慣も違うことを実感しました」と松薗講師。

「生まれ育った鹿児島、赴任した秋田、現在診療している栃木は日本の中で脳卒中死亡率が高い県、かつて赴任した大阪、京都は低い県です。関西は薄味の傾向にあると思います。そして岡山は、それらの中間に位置します」

松薗講師は栃木県で脳卒中診療に携わり、入院患者の家族歴で脳卒中罹患の多さに驚いたという。その原因を解明し、死亡率を減少させることに貢献したい、と思った。

「脳卒中死亡率が高い鹿児島、秋田、栃木は地域の特性がかなり異なっていますが、その中で何か共通点がないだろうかと考えていたんです。そんなある日、栃木県内で車を運転していたら、ラーメンの看板が多いことに気づき、これだ! と思いました」

それを機に研究に取りかかったのだという。

「鹿児島も東北も大企業がたくさんあるわけではありません。安価でおいしくて早く食べられるもの=ラーメン、という要素が関係しているのかもしれないと思います」

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チャーシューや卵などのタンパク質から食べたい

だがラーメン好きでも健康を維持している人は多い。松薗講師も藤本教授も筆者もラーメン好きだが、今のところ健康である。

適正なバランスを心がければ、ラーメンは健康的に食べられる。健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏は「カリウムを意識したトッピング」を勧める。

「ラーメンは高塩分食で、噛まないため血糖値も急上昇しやすいところで罪悪感やデメリットがあると思います。ですからまず塩分を排出するカリウムを意識して取るといいでしょう。ワカメなどの海藻類、コーンがいいですね。どちらも食物繊維が豊富で、一緒に食べると自然と噛む回数が増えることにもつながります」

またラーメンはタンパク質が不足しやすいので、チャーシューや卵で補うといい。

「学生の研究になりますが、ラーメンを食べる時に野菜や果物、肉、卵などを組み合わせて食べることで、尿中ナトリウム排泄量が増えたという報告があります」(望月氏)

またどうしても「麺から」食べたくなるが、麺は糖質の塊。できる限り「トッピングから」食べることを意識したい。チャーシューや卵などのタンパク質から食べると満足感も得やすいという。