高齢期は自分にとって心地よくない時間を減らす

実験は、失敗があることを前提に行うものです。必ず成功するなら、それは実験ではありません。

シニアの女性は、閉経後に男性ホルモンが増えることにより、以前より人づき合いなどに対してアクティブになる傾向があります。こうしたホルモンバランスの変化も利用して、積極的に「実験」にチャレンジしてみてもいいのではないでしょうか。

減らしたいのは、無駄な時間というより、自分にとってつらい時間、心地よくない時間です。

たとえば、久しぶりに学生時代の同級生と再会したら、相手の自慢話を聞かされるばかりで、苦痛な時間を過ごしたとします。

この場合、同級生と会ったこと自体は、時間の無駄ではありませんが、その時間が自分にとってつらいものであったのなら、それ以上、その時間を重ねることはしないほうがいいでしょう。

仮にその同級生が、他の人からの評判は悪くない人だったとしても、「何回か会えば、好きになれるかもしれない」などと考える必要はありません。

あくまでも自分自身にとって、その時間が心地よいかどうかだけを基準に判断すればいいと思います。それなら、無理をして会い続けるより、次を試すほうがいいと思います。

「この人でなければいけない」「このサークルでなければいけない」などとは思い込まないようにしたいものです。

代わりはたくさん存在するのですから、ひとつ試してみてダメなら、ほかを試す時間ができたと思えばいいのです。

「ダメもと」で自分から動く

「新たな人間関係ができたらいいな」と思いつつ、とくに何もせず「待ち」の姿勢でいる人も多いように思います。

待っていれば相手のほうから寄ってくる、などということは世の中そうそうありません。「この人と話してみたい」と思う相手がいるなら、自分から動いてみることをおすすめします。

「ダメでもともと」のつもりで自分からアプローチして、いろいろな人と知り合うようにしてみるといいと思います。

新しく知り合った人といい関係ができるかどうかは、結局のところ「打数」の問題だと思います。

100人のうち1人からしか好かれないような人でも、100人と会えば、1人は親友ができます。一方で、2人に1人からは好感を持たれるような人でも、1人にしか会わなければ、誰とも親しくなれない可能性があるわけです。

相当に「変わった人」と言われるような人でも、その人に合う人はどこかにいるものです。世間的に少数派の趣味を持つ人は、同じ趣味の人たちとの間に強い連帯感が生まれやすいように思います。

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たとえばコスプレが好きな人が、70歳になってコスプレをしたら、周囲からは困惑の目で見られるかもしれませんが、同じコスプレ好きの人たちと出会えれば、その人たちからは「すごい」「かっこいい」と称賛されるかもしれません。

「嫌われてもいい」と思って、いろいろな人に声をかけたり、いろいろな人に会う機会を増やしたりすると、人間関係は豊かになります。

「ダメもと」というのは、いい言葉だと私は思っています。

「ダメもと」で声をかけてみる。「ダメもと」で会ってみる。「ダメもと」でつき合ってみる。ダメであっても次に行けばいいのです。

言い換えれば、次があると思えていなければ「ダメもと」でトライすることはできません。人間関係では、とかく「次」がないと思いがちですが、その思い込みで可能性を狭めてしまうのは、とてももったいないことです。