中国はお金を流出させたくない

【大橋】まだ日本への団体旅行などは禁じられてはいませんよね。

エミン・ユルマズ、大橋ひろこ『無敵の日本経済! 株とゴールドの「先読み」投資術』(ビジネス社)

【エミン】いまのところまだ許しているけれど、たぶんこの先の流れを予測すると、中国政府は自国民を外国へは行かせない手を打つはずです。

まず、自国のお金を“流出”させてほしくないから。もう一つは、鎖国を厳しくすればするほど、自国と他国の差異がより“クリア”になってくるからです。ですから政府としては、自国民にいかに自分たちが押さえ付けられているかを認知させたくはない。

したがって、共産圏国家においては基本的に、海外への人の移動が“妨げられる”ようになるのです。

まだ実現は少し先になりますが、必ずそんな未来が来ると思います。

再び「ベルリンの壁」ができる時代がやってくる

【エミン】第二次世界大戦が終わったのは1945年でした。そしてベルリンの壁ができたのは1960年です。

【大橋】ここで15年もかかっていたのですね。

【エミン】15年後にベルリンの壁ができるまでは、東ベルリンと西ベルリンとの行き来ができていました。それが一気に変わった。今回も同様に時間をかけて、本当の意味の“壁”が出来上がるのでしょう。

新しい呼び名が何なのかはわかりません。万里の長城カーテンなのか、氷のカーテンなのかは知らないけれど、おそらくそれにふさわしい名前が付けられるのでしょう。

そうなった時点から、われわれ自由主義・資本主義陣営の国々と、中国、ロシアなどを中心とした権威主義陣営との間はシャットダウンされることになります。

関連記事
【第1回】中国が「グローバルな覇権国家」になることは永久にない…中国から外国人駐在員が逃げ出している当然の理由
「失われた30年」の責任は経団連企業にある…未来に投資せず、下請けをいじめ、学生を「就活」に追い込む大迷惑
なぜ「欧米から経済制裁」のロシア経済がV字回復しているのか…中国にすべてを握られたプーチン政権の末路
なぜ最近「激安の中国製品」が大量に出回っているのか…「世界の工場」がお荷物と化した習近平政権の自滅
元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」