テレビの間違いを繰り返さない「混成指標」

テレビが計測の仕方で犯した間違いをウェブでは避けるなら、どうすればいいか。既に手は考えられつつある。

まず、ジャーナリズムは広告収入を離れ、消費者からの収入(購読、会員制、寄付、その他)に軸足を移しており、ページ閲覧数は他の、デジタルコンテンツへの読者・視聴者のより深い関わりを示す計測法に比べ、重要性が下がるだろう。一つの指標やデータポイントではどのようなものでも弱点がある。

アメリカ・プレス研究所で私たちはそれに対処する考えを編み出し、「混成指標」を用いることにした。これはいくつもの異なる数値を取り込んで混成し、指数にする。ちょうど経済学者が経済の健全性を図るため指数を使うようなものだ。

混成指標はニュースのコンテンツに読者・視聴者がいかに関わりを持ってくれたかをもっと全面的に示せる。何人が記事を読んだか(ページ閲覧数)、どれくらい長く読んだか(閲覧時間)、他人にシェアしたか(シェアデータ)、月何回来訪するか(常連度)、そして購読者になってくれそうか、あるいは既に支払ってくれている顧客か――を合わせたものが一つの指数の中にまとまっている。

さらに、記事を読んだ人がその後購読したか(そのまますぐ、週内に、月内に)、その記事を最近購読者になった人は読んだか(購読との関係性)をこれに付け加えることもできる。

洗練された指標は報道の味方になる

API(複数のデジタルツールを組み合わせる仕組み)によって純粋にジャーナリズムの観点で他の面も加えられた。例えば、そもそもこの記事を出すのに進取の意識がどの程度必要だったか、これは論説記事かニュース報道か、記事中に引用されたのはどの機関、どんな人か、そして、より深いレベルでみれば何についての報道といえるか、などだ。

ビル・コバッチ、トム・ローゼンスティール、澤康臣(訳)『ジャーナリストの条件 時代を超える10の原則』(新潮社)

より良い指標を編み出すことで、ニュースメディアはデジタル空間の人の動きをより良くつかむ情報を取り出せる。2、3カ月に1度訪問するかどうかの、しかも1種類のコンテンツだけが目当てという当てにならないユーザーを割り出す方法も生み出せる。

常連読者を引きつけている様々なコンテンツ――長編記事、市民の立場に立ったニュース、思い切った企画、地元の出来事に関する論説コラムなど――を知ることもできる。何が購読者を生み、どんなコミュニティには接触できていないかを知ることもできる。

クリック目当ての浅薄な釣り記事を増やすよう求めるデータと異なり、より洗練された指標は、購読者を増やすならもっと価値の高いコンテンツを作り出せと報道部門を励ましてくれる。恐ろしく見えるが欠陥のあるこれまでのデータをただ受け入れるのではなく、ビジネスモデルを転換し、自分の頭でデータ分析を行うことは、ジャーナリズムの責務を強めるのであり、脅かすものではない。

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