年金制度の「健康診断結果」に注目

今回は5年延長案に絞って見てきましたが、オプション試算案は「厚生年金のさらなる適用拡大」や「在職老齢年金の見直し」以外にも、「マクロ経済スライドの調整期間の一致」「標準報酬月額の上限の見直し」などがあり、財政への影響がポジティブなものもあればネガティブなものもあります。どうバランスをとっていくのか、しっかり議論の行方を注視していきたいものです。

現役世代が親に仕送りをしなくてすむのは、親に年金収入があるからこそ。年金に限らず、医療や介護、その他の福祉制度は、個人では抱えきれないリスクを社会でヘッジする役割を担っています。社会保障というセーフティネットがあることで、一人ひとりが失敗を恐れず、自己実現のために挑戦する意欲につながり、それらの総和が国を形作ります。

少子高齢社会は先進国共通の課題であり、少子化が社会保障に負の影響を与えるのは日本に限ったことではありません。今年は、生活に直結する年金制度の健康診断の年。高齢化率と高齢者数がピークを迎える2040年に向け、官民挙げて知恵を絞っていく必要があります。

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