COCOAの失敗は業者の問題なのか

呆れるばかりの失態だ。新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」のAndroid版が事実上機能していなかった問題である。しかも、厚生労働省がそれを公表したのは不具合発生から4カ月たった2月3日だった。さらにここへきてAndroid版だけでなくiPhone用のiOS版でも不具合が発生していたことが明らかになっている。

衆院予算委員会で答弁する田村憲久厚生労働相=2021年2月15日、国会内
写真=時事通信フォト
衆院予算委員会で答弁する田村憲久厚生労働相=2021年2月15日、国会内

もちろん担当の田村憲久厚労相は平謝りだが、問題への対応が遅れたことについては「(外部からの問題)指摘を確認するのは委託先業者の責任」と業者のせいにしている。また、平井卓也デジタル改革担当相も「あまり出来の良いアプリではなかった」と苦言を呈した。本当にCOCOAの失敗はアプリを開発した業者の問題なのだろうか。

本題に入る前に、COCOAについて見ておこう。もともと接触確認アプリはIT(情報技術)技術者たちが2020年3月頃から独自に開発を始めていたが、米グーグルとアップルが各国1つに絞るよう要請してきたことを受けて、5月に厚労省が開発することになり、民間業者に開発を委託した。5月25日には安倍晋三首相(当時)が6月中旬に利用開始できると発表。実際、6月19日からスタートした。

アプリをダウンロードした場合、1メートル以内に15分以上いた人が新型コロナウイルスに感染していることが判明した際に、濃厚接触者として通知されるというのが基本的な機能だ。

接触検知がされなければ意味がない

利用開始当初から不具合が指摘されていたが、ソフトウェア開発ではつきものといえ、バージョンアップしながら問題を解消していった。そのバージョンアップで今回の問題が起きた。厚労省の発表によれば、9月28日のバージョンアップの結果、接触が通知されない不具合がAndroid版で発生したという。

開発業者は「GitHub(ギットハブ)」と呼ばれる共通プラットフォーム・サイトにシステム情報を公開していたが、そのGitHubに11月25日になって、「接触が検知されることはないと思われる」とする書き込みがあったという。発表では厚労省が不具合を業者から知らされ、問題を把握したのは今年1月25日だったとしている。

現在、アプリをダウンロードしている人は2500万人あまり。接触検知がされないなら、何のためにダウンロードしたのか分からない。田村大臣がともかくも陳謝するのは当然だろう。