日本の新型コロナの水際対策が緩いことはよく指摘されてきました。では海外ではどのような対策を講じているのでしょうか。海外在住日本人ライターの集まり「海外書き人クラブ」を20年以上主宰し、今回海外4カ国の入国隔離体験者を取材した柳沢有紀夫さんは「日本の対策がいかにザルであるかがわかる。これでは新型コロナウイルスの変異株が入ってくるのも当たり前」と指摘します――。
グアムの海岸

海外と比べてザルすぎる日本の水際対策

新形コロナウイルスは「英国型」「南ア型」などの変異株が、日本でも市中感染していることが確認されています。それらは当然、そもそもは海外から持ち込まれたものです。

そこで疑問に感じるのは「なぜ国内に変異株が入り込まないような対策をしないのか」ということです。

じつは日本でも「一応」対策はしています。「一応」。

厚生労働省の「水際対策の抜本的強化に関するQ&A」というホームページによると、たとえば日本に向かう前に滞在していた国を出国する72時間前までにPCR検査を受け、それが陰性であったことを証明する書類を提示するか、それができない場合は日本の空港の検疫所が指定する宿泊施設で3日間待機しなければなりません。

さらに入国後に「新型コロナウイルスの検査を受けること」も必要です。

待機場所は自宅、親せきの家、友人の家……

また「入国した次の日から数えて14日間、検疫所長が指定する場所で待機して、外出できない」として、具体的には「自宅、社宅、親戚の家、友人の家、マンスリーマンション、ご自身で予約したホテルなど」とされています。

そして「空港から自宅までの交通手段(自家用車、レンタカー等)をご自身で確保していただくようお願いしています。電車、バス、タクシー、航空機(国内線)、旅客船などの公共交通機関を使用しないよう、強く要請しています」ともあります。

ここまで読んで、「きちんと水際対策を立てているな」と感じられた方もいるかもしれません。14日間とされる潜伏期間中、自宅や知人宅、ホテルで待機させるのならなんの問題もないだろう、と。

ただ、この日本政府の水際対策は、諸外国と比べて「ザル」としか言いようがありません。では海外ではどんな入国後の隔離が行われているのでしょうか。私が主宰する海外在住日本人ライターの集まり「海外書き人クラブ」の会員の中にも何人か各国の入国後隔離を経験した人がいるので、彼らの話を聞いてみましょう。