何かが心に触れたとき…
三つ目の表現は例文から始めましょう。
(『タッチ』の最終回にすごく感動して、涙が止まらなかった)
漫画や映画、話や出来事。何かが私たちの心に触れる。つまり、感動する。そういった意味でも「touch」がよく使われます。
特に、人が何かしてくれたことや、人と人との関係に心がほっこりしたというようなときには特に「touch」を使うことが多いです。
同様に、感動したことを表す単語に「move」や「impress」があります。
「move」は「touch」とかなり似たような意味で使うことが多くあります。
I was very much moved by the recent film by Hirokazu Koreeda.
(是枝裕和監督の最近の映画ですごく感動した)
Brittanie was impressed with her son’s piano performance.
(ブリタニーは息子のピアノの演奏に感動した)
「impress」「move」「touch」の違いについてはいろいろ言われていますが、かなり互換的に使われています。
ただ、人に何かやってもらってほっこり心が温かくなった、などは「touch」がおすすめです。ネイティブの自然な英語の雰囲気が出てきます。
「finishing touch」と「magic touch」
最後に「絵画のタッチ」などといったときの「touch」のニュアンスが使われている表現をご紹介しましょう。こちらは少し上級編です。
指や筆が触れる勢いやその感じのことを「タッチ」といいます。「モネの『睡蓮』の曖昧で繊細なタッチ」などというときの「タッチ」のことです。
こうしたニュアンスを使って、たとえば、まさに絵画の最後の仕上げという意味で、「finishing touch」という表現がよく使われます。絵画だけでなく、プロジェクトや作品でも「最後の仕上げ」のことを指す表現です。
(昨晩マーケティングチームは新しいプロダクトのWebページの仕上げ作業に取り組んでいた)
それから、「magic touch」というフレーズもぜひ押さえておいてください。「魔法の一筆」ができるような「特別な能力」のことを指します。
Our team can’t operate without his magic touch.
(彼の特別な力がないとうちのチームは回らない)
Spielberg’s magic touch makes another masterpiece.
(スピルバーグの魔法のタッチで新たな傑作が生まれる)
さあ、今回はせっかく漫画『タッチ』のテーマで来ましたので、少し胸の熱くなるような口説き文句で締めくくらせていただきましょう。
長きにわたって語り継がれる名曲「Only You」で知られる黒人シンガーグループのプラターズ。知る人ぞ知るその名曲に「(You’ve got)the magic touch」(魔法のタッチを持つあなた)というのがあります。
そこからの一説を見てみましょう。
It’s like a fourth alarm
You make me thrill so much
You’ve got the magic touch
こちらを雰囲気を残しながら意訳してみるとこんな感じです。
大火事を知らせる第4アラームが鳴ったよう
あなたは本当にどきどきさせる
魔法のタッチの特別な力で
いかがですか。ナチュラルな響きで、ネイティブの懐にスッと入り込む「touch」のフレーズ4カテゴリー。職場での便利な表現や、恋の口説き文句まで。ぜひ実践してみてください!