思い込みの反対にある、真実味のある3つ以上の具体例に置きかえ

専門的には、「バイロン・ケイティ・ワーク」という手法があります。これは〈4つの質問〉と〈置きかえ〉によって、考え方を変えていくというものです。

(例)合格すると思えず、勉強してもムダ
●4つの質問
 ①「それは本当でしょうか?」
→ だって過去問で合格最低点を超えたことがない。どうせ無理なのに勉強しても意味がない。
 ②「その考えが本当であると、絶対言い切れますか?」
→ 合格最低点を上回ったことのない子がみんな不合格だと言う証拠は? 勉強することが無駄だと断言できる証拠は?
 ③「そう考えるとき、あなたはどのように反応しますか? 何が起きますか?」
→ やる気がなくなってダルくなる。行動がノロノロする。過去問の点数がさらにボロボロになる。筆跡が雑でミスを連発する。
 ④「その考えがなければ、あなたはどうなりますか?」
→ 元気になる。勢いが出る。勉強にメリハリがつく。過去問のミスが減って、合格最低点に近づく、上回る!
● 置きかえ
(例)と反対の文章に置きかえ、真実味のある3つ以上の具体例を見つけます。
 ↓
(例)合格する気がする、勉強することは意味がある
→各科目の点数の良かった年を出すと、合格最低点を上回る。
→本番は、自分の得意な問題しか出ないかもしれない。
→中学受験の勉強を始める前より、確実に賢くなっている。

ぜひ、恐れを克服して「本番が楽しみ!」と思えますように。

変えられるのは「感情」ではなく「行動」

また緊張するのは悪いことではなく、ごく自然な心の動きです。子どもが「緊張してきた」と言ったら、それをネガティブに捉えるのではなく「緊張するのは良いことだよ」と、その状態をそのまま一緒に受け止めましょう。

安浪京子『勉強とメンタルの悩みを解決!【決定版】中学受験をするきみへ』(大和書房)

また「緊張せずリラックスしよう、させよう」としても、感情をコントロールすることはできません。

変えられるのは「感情」ではなく「行動」です。

よって、緊張をほぐす方法ではなく、本番に向けて必要となる「具体的な行動」をご紹介します。

○「本番の日」をシミュレーションしておく

もし可能ならば、本番とまったく同じように過ごす日を作ってみましょう。本番と同じ時間に起き、実際に志望校まで行き、試験時間も休憩時間もまったく同じ状態で過去問を解きます。

さすがに学校の中には入れないので、志望校や最寄り駅近くの貸会議室や静かなカフェなどで過去問を解くことになります。

また、机と椅子が固定された一体型だったり、幅が狭いなど「想定外!」とならないよう、机と椅子の形状を文化祭や学校説明会、学校のホームページなどで確認しておきましょう。

○あらかじめ心拍を上げておく

緊張すると心拍数が上昇しますが、あらかじめ心拍数を上げておくと、その後に再度心拍数が上がっても、過剰な反応を抑えることができます。

入試当日、家を出る前に100メートル・ダッシュや縄跳び、階段を使った踏み台昇降などで心拍数を上げておけば、校門をくぐるときに口から心臓が飛び出そうな事態は免れます。

ただし受験生は基本的に運動不足。もし入試直前に学校を休んでいる場合はなおさらです。日々少しでも体を動かして、入試当日のダッシュや縄跳びでけがをしないようにしましょう。

○目の前の問題を解くのみ

緊張は不安や焦りから生じます。子どもには「合格・不合格のことは一切考えなくて良い。あなたの仕事は、目の前の問題を解くことだけ」と伝えましょう。

これは、私が教え子たち、入試激励会で最後に毎年伝えていることです。

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