アメリカでは農業や狩猟のパートナーに

では海外ではどのような使われ方をしているのだろうか?

軽トラが人気なのは、特に北米とオーストラリアである。

アメリカでは、広い農場や公園での作業やパトロールなどに使われている。また、狩猟のパートナーとしても人気が高い。山に入って捕獲した獲物を荷台にバサッと積んで家に帰れるのがすごく便利、という声もある。

また、実用車として「小さくてカワイイ顔してるのにすごいヤツ」という評価を得ているほか、近年は軽トラをカスタムして趣味の車として楽しむ愛好家も増え始めている。

撮影=加藤博人

アメリカでカスタムされた軽トラ(SEMA SHOW2023にて。左・三菱ミニキャプ、右・ホンダアクティ)

ちなみにアメリカに輸入される軽トラは、原則として「25年ルール」(※)適用の車両となる。米国の軽トラ販売サイトには新車の軽トラも販売されているが、これは公道を走らず私有地だけで使うゴルフカートのような扱いで輸入されるイレギュラーな方法である。

※アメリカでは通常、右ハンドル車の輸入は認められていないが、製造から25年が経過していればクラシックカーとして輸入が可能になる。スカイラインや80スープラなどいわゆる「旧車スポーツカー」は、映画『ワイルド・スピード』やゲーム「グランツーリスモ」などの影響で、北米での人気が非常に高い。これら右ハンドルの旧車スポーツカーも、25年ルールによってアメリカに輸入されるようになった。

左側通行のオーストラリアでも愛用されている

オーストラリアでも近年、日本の軽トラが人気となっている。

実はオーストラリアでは、自国の自動車産業を守る意味もあって、かつては中古車の並行輸入に高額な手数料を課していた。それが2017年に自動車メーカーが国内製造を終了したため、諸々の制限や高額手数料がほぼ撤廃され、中古車の輸入に関しても門戸が開かれることになった。

また、オーストラリアも左側通行の国であるが、日本とは違って左ハンドル車への規制が非常に厳しい。そのような事情もあって、日本から輸入される右ハンドルの中古軽トラが人気となっている。

使われ方はやはり広い農場や公園の維持管理を目的とするケースが主体で、米国のようにカスタマイズして楽しむ文化は成熟していない。