窃盗団にとって最高に「おいしい車」
こうした海外での高評価に比例するかのように、国内の軽トラ盗難台数が増加している。日本の自動車窃盗の世界では、海外からのオーダーに従って国内の窃盗団が対象となる車を探して盗み、仕向け地に不正輸出する方式が一般的だ。
日本でバラバラにされた軽トラは、部品としてコンテナに詰められて送られ、目的地につけばそこでもう一度組み立てられて自動車として再生される。先進的な電子装置などが少なく、構造が単純な軽トラは組み立ても簡単である。そして高値で売れるのだから、窃盗団にとってはこの上なくおいしい車なのである。
なお、正規輸入された中古の軽トラは驚くほど高値で販売されている。走行距離10万キロ超、日本では車両本体価格5万円以下というタダ同然の個体も米国やオーストラリアでは100~150万円以上の販売価格となる。
安価なセキュリティグッズでも有効かもしれない
構造がシンプルな軽トラは、ものの数分で盗めるという。そもそも、盗まれるという意識を持たない軽トラオーナーが多いため、鍵を付けたまま家の前や農道などに停めっぱなしということも珍しくない。窃盗団にとってはこの上なく盗みやすくて高く売れる、コスパの良い存在なのである。
では、盗まれないためにはどうしたらいいのか?
基本的なことではあるが、まずは施錠をしっかりして、盗難されやすい車だという意識をオーナー側で持つことが重要だ。
古い軽トラで買取価格が5万円以下の安価な場合は、お金をかけてセキュリティ装置をつける意味はあまりないともいえる。ただし、スカイラインGT-Rなどと違って軽トラは台数が多いため、一般的には数分で切断されて時間稼ぎにしかならないハンドルロックやタイヤロックなどの安価なセキュリティも、一定の効果があるかもしれない。施錠もされていない、簡単に盗める他の軽トラを探しに行く可能性が高いからだ。