スタッフの能力や育成に限界を感じたときは
先述しましたが、大手からの引き抜きにはリスクもあります。中小零細企業と大手では同業界でも文化や仕事の工程が違いますから、大手で優秀な人が中小零細企業でも優秀であるとは言い切れないのです。
高いコストを払って雇ったスタッフが期待外れだと、会社の存続そのものが危うくなります。
もう一つは幹部を社内で育成するという手もあります。社内で成長可能性が高い社員を教育して、幹部にします。このときに注意すべきは、経験や能力が足りないのは後から補強できるので問題ないのですが、責任感とコミュニケーション力は育成が難しい点です。したがって、そういった能力に長けた社員を見抜いてください。
私の会社の幹部は、ほとんど社内のメンバーを育成しました。このやり方なら、あまりコストはかかりません。
このような手法がうまくいかず、スタッフの能力や育成に限界を感じたときも、会社を売るべきタイミングです。リスクを背負いこむことはありません。
ビジネスモデルをひたすらコピーして会社を拡大する
第二フェーズでは、第一フェーズで作り上げたビジネスモデルをひたすらコピーして会社を拡大します。ラーメン店なら、最初の店舗が成功して黒字になるまでが第一フェーズで、そのやり方をコピーして、店舗数を増やしていくのが第二フェーズです。
せっかく第一フェーズで成功したモデルがあるわけですから、余計なことをせずにどんどんコピーするのがコツです。
しかし一つだけ心がけてほしいのが、ビジネスモデルはコピーでも、それぞれの店舗のブランドは変えることです。一店目が「○○ラーメン」なら、二店目は「××ラーメン」、三店舗目は「ラーメン△□」という感じで、店舗の名称を変えていくイメージです。
その理由は、どこか一つの店舗で問題が起きたときに、グループ全体が共倒れになるのを避けるためです。
先に記したように、ビジネスが拡大していくと、飲食店なら食中毒などのブランド力を左右する問題が起きがちです。店舗数が増えていくほど、問題が起こる確率も上がります。そのときにすべての店舗が同じブランド名を掲げていたら、共倒れになってしまいますよね。
ブランドが統一されていないとイグジットのときに混乱するのでは? と思われるかもしれませんが、大丈夫です。多くの人はブランドに投資するのではなく、ビジネスモデルに投資するからです。
だから、ビジネスモデルは成功したビジネスモデルを正確にコピーし、ブランド名だけを変える、という形をお勧めします。正確なコピーで、ブランドだけ違う、という形をお勧めします。