無茶な挑戦をするのがイノベーターではない

Q:イノベーションを運任せでなく成功させる方法はありますか?

<お答えしましょう!>

イノベーションには成功パターンがあり、成功確率を高める有効な方法として「ジョブ理論」があります。

顧客をよく観察してジョブを見極める常識外れの無茶な挑戦をするのがイノベーターと思われがちですが、これは大きな間違い。

顧客の悩みを斬新な方法で解決するのが、本当のイノベーターです。そこで役立つのが、「ジョブ理論」です。これは、ジョブ・雇用・解雇という独特のワードで顧客が商品を買う理由を考えるもの。アメリカ企業では、新しい仕事が発生するたびにそれに適したスキルを持った人を雇い、仕事が終わると解雇するという仕事のスタイルがあり、それになぞらえた方法論です。ジョブとは「顧客が片付けなければいけない用事」です。

求められるのは顧客の「ジョブ」への解決策

あるアメリカの大学は学生を増やすために「きれいなキャンパス」「充実した教育環境」「手ごろな学費」といった面をアピールしていましたが、学生が集まりませんでした。

一方、この大学の通信課程では「生活レベルを向上させるために学歴が欲しい」というジョブを解決するために、社会人たちが学んでいました。

そこで、大学はオンライン通信課程を強化し、社会人が大学で学ぶ必要性を訴える広告を出しました。すると、10年間で大学の売上成長率は毎年34%も上昇し、「アメリカの中で最もイノベーションに富んだ大学」と評されました。このように顧客の「ジョブ」に解決策を提示すれば「雇用」され、逆に「ジョブ」に応えられないサービスや商品は「解雇」されます。

問うべきは「顧客はどんなジョブを片付けたくて、その商品を雇用するのか?」なのです。

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米経営学者のクレイトン・クリステンセンによる理論。顧客が片付けたい用事(ジョブ)こそが、商品を買うか買わないかの決定要因であるとした。