橘・フクシマ・咲江さんのアドバイス

40代後半では自分のキャリアの終着点はまだ見えないでしょう。今は終身雇用の時代でもないし、どんな企業も安泰とはいえないので、転職という行動を取るか否かにかかわらず、自分が社外でどれだけ通用するかは意識すべきでしょう。

G&Sグローバルアドバイザーズ社長 
橘・フクシマ・咲江氏

特に日本の大手企業の場合、1社に長く勤める人が多いので、外との接点が少なくなりがちです。自分の会社で常識になっていることがほかの会社では非常識となることがあるからです。

会社の中で「成功しよう、出世しよう」と足の引っ張り合いまでして争っている暇があったら、自分のキャリアや能力を一度、俯瞰してとらえておきましょう。競合他社はどんな施策を採っているのか。それに対して自社はどうか。そこに長年勤務してきた自分が万が一辞めざるをえなくなった場合、次はどんな会社でどんな価値を発揮できるのか、ということです。

そういうことを考えるためには、社外の人と幅広く付き合うことが必要です。最近、20~30代の若い人たちが異業種交流の会として、始業前にカフェなどに集まって読書会や交流会を行っているようですが、とてもよい試みだと思います。

■「出世=成功」を捨てる

以前は日本企業の取締役といえば、全員が社内で昇進してきた人たちで占められていましたが、最近では企業のガバナンス上もダイバーシティ(多様性)が求められ、欧米のように社外から取締役を招く例が増えています。その結果、全員が取締役になることを目指し、そうなった人が成功者というキャリアパスが崩れています。

むしろ、会社の中で自分の実力が一番発揮できるポジションに就くこと。そして、「成功のキャリア」は、自分で決めることが大切です。

キャリアのゴールを意識し始めるのが50代の終わりだとすると、40代の後半からは「A社のSさん」「営業本部長のSさん」という組織の肩書ではなく、「○○に詳しいSさん」という評判が社内外で立つよう心がけるべきではないでしょうか。