だがそのような中、企業は海外留学生の採用に積極的に動きだしている。すでにシャープや富士通では海外留学生に対する求人を行っている。三菱電機は、海外の大学に留学している新卒学生の採用を進めていくために、10月入社制度を新設した。
三菱電機では次のように語る。
「中期的な経営の目標として現在35%程度の海外売上高比率を40%まで拡大したいと考えており、そのために語学が得意で即戦力になる海外留学生の採用を2011年秋から始めます」(※雑誌掲載当時)
しかし日本での採用は単純に英語力だけでは企業は評価してくれないと綿井氏はいう。
「海外留学生には当然語学力があることが前提。さらにそのうえでバイタリティなどが求められる。そして重要なのが専門性。語学ができるだけでは企業側は評価しない」
南氏もいう。
「英語力とは、ただ話せるだけではだめ。価値観の違う人たちともコミュニケーションできることが重要だ。そのためには価値観の違うところに留学し、積極的に英語力をつけていくべきなのではないだろうか」
これは外国人留学生をなぜ企業が積極的に採用しているのか、といったことにも通じている。
ローソンの幹部はこう語る。
「うちの場合は海外進出のための要員というよりは、異文化を取り入れることで会社を活性化させたいという思いから外国人留学生を積極的に採用しています。外国人留学生は非常にバイタリティがあり、彼らと交流することで日本人の新卒社員たちも触発されています」
豊かさの中でハングリー精神を失った日本の新卒学生。彼らが就職活動で求められるのはまず、どんなところでも進んで飛び込んでいく勇気と、誰とでも仲よくなれるコミュニケーション力なのかもしれない。
※すべて雑誌掲載当時