笹原が目指す「ゴルフを通じた社会貢献」とは

「プロテスト合格はたしかに大きな目標だけど。でも、テストに受かるためにゴルフをやっているわけではないんです。

向いてないし、下手だったからこそ、これからもっと自分のゴルフを高めていきたい。私には、ゴルフを通じて社会貢献をするという目標があるので」

ゴルフを通じて社会貢献するというのは、笹原が高2の時に作った目標だという。真剣にゴルフと向き合って、自分が活動することで社会に貢献する。そのためにゴルフを続けているというのだ。

プレーヤーとしての笹原は、飛距離が出る飛ばし屋でもなく、ショットがピンを刺し続けるショットメーカーでもない。状況判断と集中力に優れ、シビれるアプローチとパッティングを決める粘りのゴルフが持ち味だ。TPD単年登録時代に、QTを勝ち上がってきたのも、勝負どころでの気合いと精神力の賜物だ。

そんなひたむきさを見て、笹原を応援する人は多い。TWGTでは常に数多くのサポーターを集めている看板選手だ。

「活動を見てもらうことで、楽しい気持ちになるとか、自分も頑張ろうと思えるとか。少しでもその人の生きる活力になることが出来れば、それが私にとっては社会貢献です」

ベテランの域に差しかかっても、人は変われる

笹原と同世代の選手たちは、JLPGAでもすでにベテランの域に差しかかっている。近年の若い選手の台頭は著しく、すでに一線から退いたケースもある。しかし、笹原は30歳を超えてからも、年々その活動に熱が入ってきたように見える。

「本当の意味で頑張れるようになったのが、29歳の9月からなんです。努力のしかたがわかってきたというか」

2023年シーズンにレギュラーツアーで2勝を挙げた青木瀬令奈をはじめ、同世代で結果を出している人は、ゴルフ界はもちろん、異業種でも気になるという。

「(青木)瀬令奈は、同級生の中でもトップランナーで、ジュニアの頃に私が100とか打ってる頃に、すでにパープレーでラウンドしていました。すでに出発点が違うんですよね(笑)。今、プロテスト通過が惜しいと言われてる事自体、頑張れているのかなと思います。

でも、異業種でも同じくらいの年齢で結果を出している人たちは、きっとすごい努力をしているから、まだまだ足りないだろうなと感じることもあります。

彼らに自分を見てもらっても、恥ずかしくないような活動をしていたいと思ってます」

笹原がプロテスト挑戦を続けるのは、ゴルフを通じて社会貢献をするという自分の目標の一環なのだ。仮に不合格になったとしても、その挑戦が無になるわけではない。だからこそ、30歳を過ぎてなお、努力を重ね続けているのだ。(第2回へつづく)

笹原 優美(ささはら・ゆみ)
1992年生まれ。11歳でゴルフを始める。2014年からはTPD単年登録によりツアープロとなり、レギュラーツアーへのフル参戦経験も持つ。2019年度は中国LPGAツアー、2020年度は台湾LPGAツアーへの出場権を獲得。JLPGAプロテストは2023年までに11回受験しいずれも不合格(※うち6回が最終予選進出)。2018年九州みらい建設レディース2位。東京都出身。
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