背景にあるのは「米国の金利政策」
2024年の年初から2月19日までの間、日経平均株価は15%程度上昇した。世界的にみても、日本株の上昇率は高い。世界の投資家が日本株に注目し始めていることがよくわかる。
ただ、2023年7月~9月期の実質GDP成長率は、前期比年率3.3%のマイナスだった。10月~12月期も同0.4%のマイナス成長だった(第1次速報値)。2期連続のマイナス成長の主因は、個人消費の減少である。
円安進行で、国内企業のコストプッシュ圧力は高まった。エネルギー資源や食料品などの販売価格は上昇した。物価上昇ペースは名目賃金の上昇率を上回り、個人消費は圧迫された。中国経済の減速鮮明化で、国内の設備投資の足踏み感も強まった。景気先行き不透明感は高まり、昨年7月から12月にかけて日本株の上値は抑えられた。
転換点になったのは、昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。経済見通しサマリーで連邦準備制度理事会(FRB)は、2024年に3回程度の利下げ実施の可能性を示した。主要投資家は物価安定が視野に入る中、FRBは景気減速リスクに配慮すると楽観姿勢を強め、年6回程度の利下げを前のめり気味に期待した。
中国・香港から日本・インドシフトが加速
それに伴い、一時、米金利は低下した。成長期待の高い米国の生成AI関連銘柄に投資資金が流れ込んだ。年初以降、割安、かつ、業績期待の高まる半導体製造装置など、わが国の大型株を買う欧米の主要投資家は急速に増えた。
世界の投資資金の移動も加速した。デフレ圧力が高まり企業業績の悪化懸念が高まり、中国や香港株を売却する投資家は増えた。多くは、日本株やインド株に資金を振り向けた。中国では日本株連動の上場投信(ETF)が、個人投資家の間で人気になった。また、わが国で“新NISA”がスタートしたことも、国内株の上昇を支えた。
ただ、価格の急速な上昇によって日本株の割安感はほぼなくなった。2月16日時点で、日経平均の予想ベースのPERは16.27倍だった。昨年9月後半、予想PERが16倍を超えたあたりから日経平均の上値は重くなった。