日本は断熱材がない家屋が多い

1位 断熱材
筆者提供

住まいの中で「これがないともっとも寿命が短くなるもの」は、「断熱材」です。断熱材とは、建物の壁や基礎・床下・天井・屋根などに入れて、寒い冬や暑い夏でも外気温に影響されずに、家の温度を一定に保ってくれるものです。そのため住まいのどの部屋でも気温が一定のため、血圧が安定し病気にもなりにくいのです。そのほかにも断熱材が入っている住宅は、冷暖房効率も上がり省エネにもつながります。しかし日本の住宅は、じつは断熱材がほとんど入っていない住宅が多いのです。断熱材がしっかり入っているかどうかについては、現行の省エネ基準に適合しているかどうかが一つの目安になります。

国土交通省の調べではこの省エネ基準に適合している住宅は、令和元年時点で新築住宅では80%、新築のマンションでは、72%と普及している一方で、住宅ストック(販売されている中古住宅)については、省エネ基準に適合している住宅はわずか11%となっています。つまり9割の中古住宅が現行の省エネ基準(※)を満たしていないのです。

また、日本では欧米に比べて家が寒くても暖房使用しない習慣もあります(図表9)。これが日本の家は寒いと言われている原因です。WHO(世界保健機関)では寒さによる健康影響から居住者を守るための室内温度は、18℃以上にすることを推奨していますが、日本の住宅の平均気温は、このような環境が影響し、在宅中でも12℃~17℃と低いのです。またこの平均室温を都道府県別にみると、寒冷な都道府県ほど平均室温が高く、反対に温暖な都道府県ほど平均室温が低い結果になっています。これは北海道など寒い地方ほど、外気温に対応するため、住まいの断熱化が進んでいることが関係しているようです(図表10)。

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