高性能規格とローコストでは4000万円以上の差が
図表1の㉒の数値は費用の総額を月割にした数値。高性能注文は8万円、高性能規格は6万7000円、ローコスト住宅は13万7000円です。
図表1の⑲トータルコストを見ると、高性能規格とローコスト住宅では4000万円以上の差が出てきます。購入額の差が逆転するわけです。これは、①初期費用、②ランニングコスト、③コストリスクの最小化、④出口を考えた資産という4つの要因が複合的に関係していることで生まれる変化なのです。
それぞれの項目を解説する前に、住宅ローンについて触れておきたいと思います。
結論からいうと借入額と返済額はイコールではありません。把握しておきたいのは、家づくりにかかる「総額」、自己資金や補助金などを差し引いて算出される「総借入額」、金利などの返済条件から算出される「月々の返済額」です。
これにメンテナンスコストや光熱費など含めて「実質返済額」を導き出します。この実質返済額を最小化するのに住宅の性能が深く関係しているわけです。
表の①~⑨、⑩、⑪にあるように家づくりにはさまざまな費用がかかります。これらを合計したものを“初期費用プラス”と捉えたうえで借入額を明確にし、実質返済額を把握します。これを「資金計画」とか「マネープラン」といいます。
30万円の費用がかかっても大きな経済効果がある
ここで高性能住宅について説明しましょう。「長期優良住宅」という言葉を聞いたことがありますか? これは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことで、所轄行政庁に申請することで認定を受けられます。
約30万円の申請費用(手数料を含む)がかかりますが、それよりもはるかに大きな経済効果があります。税優遇のほか、住宅ローンの金利の軽減、地震保険の価格を下げることにもつながるのです。月々5000円くらいの効果があると思ってよいでしょう。年間で6万円ですね。
また厳しい規定をクリアした家なので、長期スパンで考えると大きな経済効果をもたらします。その効果の要因は7つ。
1.メンテナンスコスト
住宅の質を高めるには費用を要しますが、その分維持管理はしやすく、かかる費用はローコスト住宅の半分くらいになるでしょう。
2.耐震性
1~3までの等級があり、地震が起きても継続して住める家が3にあたります。これには100万、200万円という費用がかかりますが、地震で倒壊した家を復旧させるのにはさらに多額の費用が必要になることを考えると、耐震性への投資の優位性がわかるかと思います。認定には耐震等級2以上が必要(例外あり)。