駅から「徒歩10分」と「徒歩15分」では大違い
③「市場価値」
不動産の取引は有効需要があればそこに価格が成立し、その価値が市場価値となります。どんなに機能やデザインが優れた物件でもほしい人がいなければ取引も価格も成立しないので、市場価値はゼロとなります。したがって、市場価値が高いものは概ね都市部の周辺物件に限られてしまうのが現状です。
単純に市場価値だけを見るならば、首都圏なら最寄り駅から近いところがやはり優位になります。例えば、東京23区内で築10年の中古マンションを最寄り駅からの所要時間でどれだけリセールバリューがあるかを見てみると、徒歩3分以内では価格が分譲当初より上昇しています。徒歩10分以内でも上がっているところがありますが、15分以上の場合はほとんどが下落傾向となります。
戸建てやマンションの構造も資産価値に大きく関わってきます。鉄骨よりもRC造のマンションの方が市場価値は高いと言えますし、ローコスト住宅よりもメジャーな住宅メーカーの戸建ての方が市場価値は高いのは言うまでもありません。
中古になっても売れる物件の4つの基準
ここで「リセールバリュー」という言葉が出てきたので少し説明しましょう。リセールバリューとは、一度購入したものを販売する際の再販価値のことで、中古不動産や中古車に使われることが多い言葉です。
リセールバリューは、個々の物件について用いられるとともに、ロケーション(立地)に関しても使われることが多く、町ごとのリセールバリューを算出している資料も見られます。
リセールバリューは、主に次の4点で評価されます。
1 交通利便性
都心やターミナル駅へのアクセスがいいかどうかが問われます。複数の路線が利用できたり、急行が利用できて、都心に短時間でアクセスできるなどの公共交通機関の利便性がよいほど価値は高まります。
2 生活の利便性
日常生活に必要な施設が揃っているほど価値が高いといえます。商店街やスーパーなどの商業施設や学校、病院、役所といった公共施設も生活する上では不可欠です。ひと言で言えば暮らしやすい街かどうかです。
3 居住の快適性
周囲の環境が生活することにふさわしいかどうかが評価の基準になります。公園などの緑があるか、近くに騒音を出す工場がないか、高速道路や幹線道路で排気ガスや騒音がないかなどが問われます。
4 安全性
災害の危険性がないか、治安が保たれているかの2点が問われます。特に東京の場合には、水害のリスクが高い地域が混在していますので注意が必要です。