ひとり暮らし比率:最高は東京、最低は山形

次に、3つの地域で15歳以上の5歳階級別のひとり暮らし比率を見てみよう。図表3には、ひとり暮らし比率トップの東京と最低の山形、およびその中間の鹿児島を全国平均と比較したデータを掲げた。

図を見ると、東京はすべての年齢層(親元にいる15~19歳を除く)でひとり暮らし比率が全国平均と比較して非常に高くなっており、まさに「ひとり暮らし都市」と言ってもよい状態である。

逆に、山形は、ほぼすべての年齢層でひとり暮らし比率が低く、「家族同居都市」とでも呼ぶべき状況だということが分かる。

面白いのは鹿児島だ。40代前半までの人生の前半では、全国と比較してひとり暮らしが少ないが、40代後半以降、歳を重ねるに連れてひとり暮らしが多くなり、全国の上昇傾向と比較しても上昇率が一層高いという特異なパターンを示している。鹿児島がこうした特徴的な姿を示している理由については後段でふれる。

鹿児島の例からも地域パターンを見るときは若年層のひとり暮らしと高齢層のひとり暮らしを区別して観察すべきであることが分かる。そこで、図表4には、X軸に若年層(20代)のひとり暮らし比率、Y軸に高齢層(75歳以上)のひとり暮らし比率を取った散布図を描いた。

この散布図で都道府県の分布状況を概観すると、X軸とY軸の指標は平行して増減する傾向がある(すなわち、若年層と高齢層のひとり暮らし比率は両方とも高かったり、低かったりする傾向がある)ことが分かる。東京や山形はこのパターンである。

しかし、若年層のひとり暮らし比率があまり高くないにもかかわらず、高齢層のひとり暮らしは高いという方向に片寄った地域が少なからず見受けられる点が見て取れる。鹿児島はこちらのケースである。

この散布図から、特徴的な地域をグルーピングしてみると、

① 若者ひとり暮らし地域
② 高齢者ひとり暮らし地域
③ 高齢者同居地域
④ 若者同居地域

が認められる。

① 若者ひとり暮らし地域 例:X軸の値の大きい東京、北海道、京都、福岡、広島、宮城といった都市部。旧帝大の国立大学が存在しているような学園都市的な性格が相まって、地方圏から出て来た若者のひとり暮らしが多いエリアとなっている。

② 高齢者ひとり暮らし地域 例:Y軸の値の大きい東京、鹿児島、大阪、高知といった地域。若い頃から未婚のひとり暮らしが多く、また、商業や交通機関の発達などから高齢者のひとり暮らしがしやすい環境のある東京、大阪といった大都市的地域、および地方の中でも一定の年齢まで家族と同居していても高齢になるとひとり暮らしをする社会的気風が残っている西日本の縁辺地域がこのエリアに属している。

東京や北海道、京都のように①と②がダブっている地域もあれば、①あるいは②のいずれかにしか属さない地域もある。

③ 高齢者同居地域 例:山形、新潟、富山、福井といった日本海側や北陸の地域や佐賀。ただし、北陸の中でも金沢市を有する石川は地方中枢都市的性格をあわせもっているためか、仙台を有する①の宮城に近く、③には属していない。

④ 若者同居地域 例:和歌山や奈良といった近畿周辺地域。

ひとり暮らしの年齢パターンは地域によって多様であることが理解されよう。