SNSが男女間の葛藤を増幅させている

「朝鮮日報」とソウル大社会発展研究所が16歳以上の男女1786人を対象とした「2022大韓民国ジェンダー意識調査」を見てみると、韓国民は男女葛藤が主に現れる空間として職場(49.4%)とオンラインコミュニティー・ソーシャルメディア(37.8%)を挙げ、「オンラインコミュニティーが男女の間の葛藤を増幅させる」と認めている韓国民は、調査に応じた人の68.9%に達しました。

「男女嫌悪」は悪化する一方というのが私の個人的な認識ですが、実際に大勢の人が問題の存在そのものには気づいている、ということでしょう。言い換えれば、その分、広がっているわけです。

このような男女嫌悪が、実は出生率にも影響を及ぼしていること。いままでこのような見解が韓国側のメディアでちゃんと記事になったのは、2023年3月、一部のメディア(「聯合ニュース」など)だけでした。それも、外国でこの問題が取り上げられたからです。

韓国を分断しているのは「性別」だった?

性別、経済関連を主に扱うジャーナリスト、アンナ・ルイズ・サッスマン(Anna Louie Sussman)氏が、この問題を2023年3月21日、米国時事月刊誌『ジ・アトランティック』に寄稿しました。「韓国人が子供をつくらない本当の理由」をメインテーマにした寄稿文で、韓国メディアの記事がネット公開した部分だけまとめてみますと、一言で、「韓国で起きている社会的『断層』は、他の国のように人種や移民問題ではなく、実は性別である」です。

写真=iStock.com/Orbon Alija
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以下、韓国メディアによって公開された部分だけ整理して、サッスマン氏の主張を引用しながら進めますが、本書での「引用」は、あくまで私が私の持論を展開するにおいて必要だから引用するものであり、その引用元の著者・記者・作家の方々の思想、活動内容などに全面的に同意するという意味ではありません。記事ならともかく、こういう寄稿文だとなおさらです。これはこの寄稿文だけでなく本書全般においてそうですので、その部分もまたご理解の程をお願いいたします。

サッスマン氏を名指ししているわけではありませんが、こういう主張をする人たちには、理屈がおかしい、女性差別をなくす方法を男性差別から見つけようとする人たちもいるので、もしやと思って、改めてお願いいたします。差別で差別を解決できるはずがないのに、悲しいものです。