異性嫌悪が殺人事件を引き起こすことも

似たような現象が、男性からも現れています。敵と一緒に人生を歩む気はない、と。ある人にとっては自己防衛かもしれませんが、残念ながらオンラインという匿名空間を起点にし、この流れは嫌悪へと形を変えました。「もはや異性には何も関心がない」という主張も聞こえてくる今日この頃です。「嫌う」の真の意味は、わざわざ嫌う言動を発するのではなく「無関心」だと聞いたことがありますが、そういったところではないでしょうか。

シンシアリー『韓国の絶望 日本の希望』(扶桑社新書)
シンシアリー『韓国の絶望 日本の希望』(扶桑社新書)

ネットで適当に愚痴っていればまだかわいいものですが、たまに凶悪事件も起きています。「相手が女性だから」という理由だけで男性が刑事事件を起こしたケースは、パッと思いつくだけでも複数ありますが、その中でも2016年の「江南カンナム駅トイレ殺害事件」が特に有名です。

「女どもに無視された」という理由だけで駅のトイレ(男女共用)に待ち伏せして女性を殺害したと、後に加害者は陳述しています。待ち伏せしていたトイレには被害者の女性より先に6人もの男性が入って利用していましたが、犯人は彼らには何もしませんでした。つまり、犯人の陳述は、その行動からも裏付けられるものでした。この人、お母さんが忙しくてお父さんが産んだのでしょうか。

「自分も被害者になりうる」という恐怖

すでにオンラインコミュニティーなどで女性を嫌悪する男性が多い(逆もまた然りですが)ことを知っていた女性たちは、このような極端な事件が「自分にも起こりうる事件」と強く感じ、恐怖しました。そして、「加害者がここまで開き直ることがこの世にあってもいいのか」と、世界観そのものが崩れる、韓国で言う「メンブン(メンタル崩壊)」状態に陥りました。

もちろんこのような殺人事件は恐ろしく、許されないものであり、犯人の性別を超えた、より広い範囲の「社会的問題」として重く認識されるべきです。口では性別がどうとか言っているけど、それはただの「なぜ私が社会でうまくいかないのか」という不満に対する、間違った「犯人探し」の結果かもしれないからです。犯人の成長環境そのものから問題視する必要があるでしょう。

しかし、「虐げられてきたのに、なぜこんなことに」と認識する女性たちは、一件の殺人事件が持つ意味よりも、さらに強い恐怖と闇を感じたことでしょう。

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