「男性嫌悪者」とされた20代女性が自殺

男女嫌悪は大手メディア、外国メディアからも問題視されています。まず、「朝鮮日報」(2022年5月19日)の記事から現状を読み取ってみましょう。ちょうど、インターネット放送をしていた20代の女性が「フェミニストだ」というレッテルを貼られ、「コメント暴力」を受けて自殺する事件が起きました。

フェミニストは、もともとは男女に関する社会の保守的価値観以外にも、多様さをもっと尊重しようという主張をする人たちであり、別に悪いことをしているわけではありません(最近は相手に自分の思想をゴリ押しする人たちも目立つので困ったものですが)。ですが、韓国でフェミニストといえば、女性の場合は男性嫌悪者、男性の場合は女性擁護ようごということになります。

先ほどの「フェミニストだ」というレッテル貼りも、「男性嫌悪者だ」という意味になります。なにかそれっぽいジェスチャーやあいまいな発言だけでも、いったん「そういうこと」にされると、そこですべてが崩れます。

電話に怯える女性
写真=iStock.com/Kayoko Hayashi
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理解しがたい「フェミニスト」の解釈

自殺した女性も、本当に男性嫌悪者なのかどうかはわかりません。「そういうこと」にされて母親が先に自殺し、それでも「お前の母が死んだのはお前が男性嫌悪者だからだ」などのコメントが相次ぎ、結局、本人も母親の後を追いました。ここまで来ると、たとえ本物の男性嫌悪者だったとしても、あまりにもひどい結果です。

外国メディアは、「韓国ではなぜフェミニストが『無条件の攻撃対象』にされるのか」と、この現象を不思議に思っていました。フェミニストという単語が、男性嫌悪者を意味する言葉、すなわち「男性の敵」を意味する社会的雰囲気が、理解できなかったからです。

この話題の冒頭で、「『嫌悪』という言葉は最近あまり目立たなくなった」と書きましたが、その言葉があまり使われなくなっただけで、「男女嫌悪などない」とするのは嘘です。隠しているだけです。