「大奥」のMVPは仲間由紀恵

ちょいと脱線して懸案の「大奥」を。Season1では超絶かっこいい冨永愛、悲劇の暴君・堀田真由、色狂いが妖艶な仲里依紗、神がかったなりきり・三浦透子、そして諸悪の根源・斉藤由貴。

Season2では熱意が報われなかった鈴木杏、存在しちゃいけないレベルのサイコパス・仲間由紀恵、それに翻弄ほんろうされた安達祐実、知恵で夫を守った蓮佛美沙子、禍々しい屈辱に耐えた愛希れいか、ハンディキャップに苦しんだ岸井ゆきの、志半ばで息絶えた志田彩良。

倉科カナ、貫地谷しほり、松下奈緒、瀧内公美ら、将軍を支える「女の連帯と思慕」にも胸を打たれた。つうことでMVPは仲間に。彼女の長いキャリアで観たことのない強烈な怪物役だったから。

6位 河合優実 42点

不運と不幸に立ち向かう2パターンを異なる温度で体現

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(NHK BS)では、いろいろと難儀な家族と暮らす明るい女性を演じた。

父は早逝、母は車椅子、弟はダウン症、祖母は認知症ぎみ。でも不幸ではない。たくさんのギフトを家族からもらっている喜びを全身で表現する天然の明るさに救われた人も多数。ああいえばこういうどころか、100倍面白い返しとオチをつける姿が観ていて心地よかった。

また、宗教2世として育った女性を演じたのが「神の子はつぶやく」(NHK)。救いを求めたのは家族でも宗教でもなく、マゾヒズムの世界という、トリッキーだが深遠なる展開。カルト宗教に純粋培養された女性の苦悩と罪悪感を、繊細に表現した。

今年の新人賞はモデル出身の21歳

5位 木南晴夏 42点

地味な女の滋味を完璧に醸し出した納得の主演作

「ブラッシュアップライフ」(日テレ)で主人公(安藤サクラ)の友人役を演じ、夏帆とともに女友達のリアルを再現した木南。今年は主演作「セクシー田中さん」(日テレ)が熱かった。

幼少期からいじめられ蔑まれてきた地味な女性が、四十手前でベリーダンスに目覚め、周囲の人々の心の栄養剤となる物語。

写真=iStock.com/Staras
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地味な女の滋味や悲しみや孤独をここまで醸し出した女優は他にいない(だいたいが地味な女を装っても、自己愛が漏れ出て安っぽいコスプレで終わる)。そもそもの所作や言葉、生活ぶりが美しく丁寧で、偏見をもたない田中さんに、木南は完璧に一体化した。

ちなみに、女性部門の新人賞は生見愛瑠。「教場0」(フジ)でもがっちり心をつかみ、「セクシー田中さん」では等身大の女性を好演。いずれは連ドラ主役級だね。