改めて泣き顔が絶品

9位 尾野真千子 42点

絶望を抱え、誰にも知らせず一人旅をする

「グレースの履歴」(NHK BS)、「すべて忘れてしまうから」(テレ東)がうっかり共通。どっちもある種の絶望と希望を胸に、一人旅すんだよ真千子が。改めて泣き顔が絶品と痛感。

「グレース~」では海外で事故に遭って亡くなるが、その前に実は生前整理をしていた皮肉。妊活で受診したはずが白血病を宣告され、ひとりで治療に挑んだ背景も。内向的で交友関係の薄い夫の行く末を案じ、ある奇策を思いつく。

「すべて~」は祖母の遺産を相続して失踪する役だ。大人の事情が大渋滞する2作品で、悲しみと対峙たいじする場面で魅了した(私を)。

8位 趣里 42点

♪バドジズデジドダーで観客も視聴者も私も虜に

一度聴いたら1週間は脳内がバドジズデジドダーに占領され、耳から離れない。異様に長いまつげに真っ赤な口紅の趣里が脚を180度上にあげて踊りまくっている映像も頭から離れない。朝ドラ「ブギウギ」の話だ。

華やかさのみならず。出自が明らかになったときの深い悲嘆、弟が戦死したときの空元気など、ぐっと涙をこらえる表情も秀逸。ハイレベルな喜劇と悲劇を要求される大阪局朝ドラにて、すでに合格点だ。

また「東京貧困女子。」(WOWOW)では貧困の手前にいるシングルマザーを演じた。パワフル&リアリティーの二刀流、向かうところ敵なしである。

この女優なら韓国ドラマに勝てる

7位 板谷由夏 42点

復讐モノに必須の「怒りと悲しみのハイブリッド」

「離婚しようよ」(Netflix)では、ふがいない依頼人(松坂桃李)を切れ味鋭い苦言諫言で支える弁護士役。苦労と努力の人だからこその厳しさ、緑色がよく似合う美しさ、コメディにおけるテンポ、三つ揃いの適役だ。

一方「ブラックファミリア」(日テレ)では娘の転落死の真相を突きとめるべく、一家総出で綿密な計画を練って復讐に挑む母の役。復讐モノといえば、韓国ドラマの女優陣と展開のすさまじさには勝てないと思っていたが、板谷は勝てる。

第9話で、怒りと悲しみと恨みと虚脱感が一気に襲ってきたときの表情と声音に女優の格を感じた。結末が予想外だったこと、板谷の最後の不穏な表情も含めて高く評価しておきたい。