片道切符のエアチケットなら世界一周も安上がり

世界一周の話に戻そう。ピースボートの後は、2020年は日本国内をワーケーションで移動し、2021年から2周目、3周目と世界各地を駆け巡っている。

Akinaさんだけでなく、世界を放浪する人々は今も昔も多くいるが、彼らの収入や支出はどうなっているのか。現在、世界各地の医療機関で治験の患者になるかわりに、高額の報酬を受け取ることが可能なバイトがあるらしい。しかしこれは最悪重篤な副作用も覚悟の上、病院での拘束期間がかなり長い。だから自由に仕事をしながら旅をしたいデジタルノマドには向かない。

そこでAkinaさんは幼少期から培った節約術を駆使する。

「まず移動ですが、地球2周目からは、常に片道切符のみのエアチケットを買い続けています。ハイシーズン以外のLCCを使えば、たとえば日本からタイへは2万円、タイからドバイは4万円、ドバイからヨーロッパまで2万円などと乗り継げるので、それほどお金はかかりません。ヨーロッパの国々の移動は1万円台でもチケットが買えます。ヨーロッパから南米に移動するにはもっとかかりますが、南米での移動も国によっては1万〜2万円ぐらいで可能です。2周目の世界一周の飛行機代を計算したところ、合計は燃油サーチャージ込みで30万円ぐらいでした」

「コリビング」であれば孤独とも無縁

また、滞在費に関してはリーズナブルなAirbnbを選んで宿泊費を抑えたり、COLIVING(コリビング=共に暮らす)という、コワーキングが併設されているシェアハウスに宿泊したりしている。なかでもコリビングはシェアキッチンやランドリーがあるので、自炊や洗濯が可能。同様に滞在している他の国のデジタルノマドたちと交流し、食住を共にすることで国境を超えた深い関係性を築くことができて、Akinaさんのキャリア面で大きな収穫となる。

「とはいえデジタルノマドを辞める人たちも少なからずいます。その最大の原因は“孤独”なんです。私も一人で移動している時は寂しさに押しつぶされそうになった経験があります。だからこそ、コリビングなどで形成されるコミュニティに参加することが大事なんです」

撮影=東野りか
COLIVE FUKUOKAのイべントに参加する父の朱恵明さん(左端)

デジタルノマドの聖地といわれるブルガリアのバンスコー、サッカー選手のクリスチャーノ・ロナウドの生地である大西洋の孤島、ポルトガルのマデイラ島のコリビングでは、1カ月5万〜6万ぐらいの宿泊費で暮らすことができた(Wi-Fi込み)。

しかし大都市圏は物価高傾向なので、ロンドンなどに移動した場合はそうはいかない。「その場合、宿泊料金は1泊何万円もかかります。物価の安い国に長期滞在して貯めたお金で、物価の高い国の短期滞在を時折楽しんでいました。そんなふうにメリハリをつけています」

さらに、デジタルノマドの荷物は必要最低限のほうがいいので、新しい洋服や化粧品はほとんど買わず、バックパックのみで旅行していた。このように持ち物をミニマムにするのも条件。着るものを最小限にするために“ノーブラ主義”になった強者女性のエピソードもあるくらいだ。