やりたくない仕事はNO! 収入の半分は投資
気になる収入面はどうなのだろう。
聞けば、収入はざっくり分けてビジネス面50%、投資が50%だ。
ビジネス面でもっとも収入が大きいのは、海外のデジタルノマドの誘客事業で全体の30%になる。2023年10月には福岡コンベンションビューローと福岡市が主催した日本初のデジタルノマド誘客事業「COLIVE FUKUOKA」にも参画。
Akinaさんが中心の運営チームが世界各国で出会ったノマドたちを日本に誘客したところ、延べ50人ほどがプログラムに参加した。彼らは1カ月ほど福岡に滞在して日本人と交流し、日本の文化にも触れた。もちろんリモートワークで働きながら。福岡以外でもAkinaさんは日本の各地域で海外ノマドの誘客を行っている。
また、海外ノマドワーカーに関するイベント登壇や講演の収入が10%ほど。COLIVE FUKUOKAをはじめ、ブルガリアのバンスコーやフィリピンのシャルガオ島でも英語で基調講演を行っている。父親は、日本や海外の会社のプロジェクトマネージャーに就いていたし、亡き母は英語の教師だったので、Akinaさんは幼い頃から中国語や英語を話す環境で育っている。日本語を含め3カ国語がネイティブレベルで堪能なのが、大きなアドバンテージになっているのは間違いない。それ以外にも前職からの仕事の請け負いによる収入が10%ほど。
「会社員時代はやりたくない仕事もやらざるをえませんでした。でも今はやりたい仕事のみを選ぶようにしています。その生活を下支えするためにも、お金に働いてもらうという観点で投資にも力を入れ始めました」
デジタルノマドならば定住するための家は不要。会社員時代に購入したマンションは一時賃貸に出して不動産収入を得ていたが、それが全体の30%ほどに。まさに“お金が働いて大きくなっている”状態。
また、信頼できる先輩の事業に出資してリターンを得ているが、それが20%ほど、中長期の外国為替や積み立てNISAがおのおの5%ほどだ。
その結果、会社員時代の軽く倍の収入になった。物価の高い都内で、会社員としてストレスを抱えて暮らすよりも、デジタルノマドで世界を放浪するほうが、リビングコストは安くなっている。だから、したくない仕事は「No!」と言えるようになった。
元引きこもり77歳の父も新ビジネスパートナー発見
それでもいいことばかりではない。治安が良くない南アフリカ共和国や南米の国々では、女性のひとり旅ということもあり危険な目に遭遇したことも。また南ア滞在時には、一人暮らしの父が病で倒れたのに、すぐに日本に戻ることができなかった。
77歳の父をAkinaさんは常に心配している。だから日本に帰国すれば、デジタルノマドのイベントなどに(半ば強制的に)父を同伴しているというわけだ。ピースボートにしろ、それ以外のイベントにしろ最初は嫌々参加していた父だが、なんとCOLIVE FUKUOKAで2人のビジネスパートナーと知り合い、日本や台湾でのプロジェクトに参加することになった。そんな父がなかなか頼もしくもある。「仕事があったほうが絶対にイキイキするはずなんです」とAkinaさんはホッとしたように笑う。
父は青春時代を完全に謳歌しきれなかったが、娘には輝かしい人生を生きてほしいと願っている。娘のノマドライフは父にもいい影響を与え始めているのだ。