ウォークインクローゼットをおススメしない理由

■利便性の悪い収納

収納面積が広く、収納数が多いと便利ですよね。ただほかでスペース調整が働いているのも事実。検証したいのはその収納スペースを効果的に機能させられているかどうか。

例えば収納力の高いスペースでも奥に入っている物が取り出しにくい、または空いたスペースがたくさんあると、収納力が発揮されません。どの場所にどれくらいの物を収納したいか、収納する物の納まりのよい空間(奥行きや棚数など)を検証するべきです。

場所別に見ていくと、まず玄関収納で扉つきの場合、中に入っている物が見えず、人によっては靴を雑多にしまってしまいます。

キッチンの吊戸棚つりとだなも見直しましょう。高い位置は取り出しにくいので、使う頻度の高い物は別の場所に置きたくなりますよね。家事の勝手をよくするための収納が機能していないわけです。地震のときに物が落ちてくるリスクもありますよね。

寝室のウォークインクローゼットも使い方次第では無駄に。もしそこに家族全員の衣類を収納しているのであれば、その寝室を使っていない人の生活動線は悪くなります。その場合はファミリークローゼットを設置したほうが有効でしょう。

棚を設置するときは「奥行き」に注意する

収納場所の確保は工夫で対処できることもあります。例えば平屋で十分なスペースがない場合、屋根の三角になっている空間をロフトのようにして収納場所とする設計もできます。

また棚を設置する際は奥行きに注意していただきたいです。例えばウォークインクローゼットの棚の奥行きは60cm、シューズクロークの棚は30cmというふうに収納する物が決まっていれば、無駄のない空間使いができるのです。

食品や食器を収納するパントリーでは奥行きを大きくすると、奥側に置いている物がなにかわからずにストレスになることも。奥行きを小さくして棚数を増やしたほうが使い勝手がよいわけです。

天井裏収納を設置している人もいますが、折り畳み式の階段を出し入れするのが億劫おっくうですよね。結局、屋根裏に収納した物が誰の目にも触れないという事態を招いてしまいます。

造作家具も検討の余地ありです。家づくりの段階で家具を設置する方法ですが、生活しているうちに収納する物、量は変わってくるもの。すると造作家具が使い勝手の悪い存在になってしまいます。家具はあとから買うことができるということも踏まえて考えたいものです。