窓は西側に設置してはいけない

また設計時に関わることとしてリビング階段があります。家族のコミュニケーションをとるうえでは有効な設計ですが、来客時などにプライバシーを守れないというデメリットもあります。また階段を設置する分、リビングの空間が狭くなります。生活スタイルと空間の有効性、初期費用などを合わせて検討したいポイントです。

窓は外壁よりも断熱性が低いことを理解しておいてください。夏と冬とで日射量や日当たりの状況をシミュレーションしてから、窓の位置、数、大きさを決めていきます。多くのケースで南側の窓面積が大きくなるでしょう。風の通りをよくするために北側にも窓をつけます。

東側と西側は要検討というところです。特に西側は立地、間取りで特別な理由がない限り、なるべく設置しないことをおすすめします。夏場、熱を取り込んだ状態でさらに西日からの熱を受けてしまうと、エアコンのエネルギー負荷が大きくなってしまうからです。

西日が差し込む窓
写真=iStock.com/halbergman
※写真はイメージです

「なぜこれは必要なのか」と疑問を持つこと

平松明展『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)
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不要になるかもしれない窓は、ほかにもあります。まず、浴室の窓。室内空気の湿度が低く抑えられていることが前提の話になります。窓は断熱性を低くする要因であるとともに、掃除の手間が増えます。不要なら初期費用を抑えられます。

天窓も同様です。どうしても光を取り込む方法がない場合を除いて必要のない窓のひとつです。

また窓ではありませんが、勝手口も防犯の観点、初期費用の観点からするとなくてもよいと思います。生活動線を満たすために必要な場合は例外です。

当たり前のようにあるものでも生活スタイルによっては不要なものがたくさんあります。「なぜこれは必要なのだろう」と疑問を持つことが、よりスマートな家づくりにつながると思います。