固まった筋肉が疲れ、コリを引き起こす

筋肉は、ゆるんだり縮んだりすることで、ポンプのような働きをして、血液やリンパ液を流しています。細胞のすみずみまで酸素や栄養を届けたり、老廃物や余分な水分を回収したりするのに、筋肉の動きはとても重要です。

ところが、体に力を込めて筋肉が緊張した状態が続くと、筋肉が弾力性やしなやかさを失ってしまいます。筋肉は一時的に「固い」状態から、常時「固まった」状態になります。

こうなると、自分ではリラックスしているつもりなのに、筋肉はゆるまず、固いままなのです。筋肉のポンプ作用が働かなくなると、血液やリンパ液の流れが阻害され、酸素や栄養の運搬・老廃物の排出が滞ります。こうして、疲れやすさやコリ、痛み、不快感などの不調が発生します。

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また、筋肉が固まって収縮すると、固くなった筋肉に骨が引っ張られてしまいます。骨は本来の正しいポジションから外れてしまうので、スムーズに動くことができなくなり、動きも制限されます。

激しい筋トレをしても関節・筋を痛めるだけ

筋肉をゆるめてあげると、関節の可動域(動かせる範囲)が広がり、引っ張られていた骨も自然と元の位置に戻ってくれます。

本来あるべき場所に骨や筋肉があると、とても機能的に動かせますし、体もラクになります。スポーツでも仕事でも、力が抜けているときのほうがいつも通りのパフォーマンスができます。

私が「がんばらないでほしい」とお伝えしているのは、このような理由からです。

冒頭で挙げたジムのチェストプレスで鍛えることができる主な筋肉は、大胸筋だいきょうきん(胸の筋肉)・上腕三頭筋じょうわんさんとうきん(腕の後ろ側の筋肉)・三角筋(肩の筋肉)です。

背中の大きな筋肉である広背筋をゆるめることで、広背筋と「対」になって伸び縮みする大胸筋が動きやすくなりますし、肩まわりもゆるみ、骨が本来の位置で機能的に動かせるようになります。

運動は決して悪いことではありません。筋肉は使わないと固くなってしまうのも事実です。でも、「激しく大きく」動かしても筋肉はゆるみません。ぜひ「ラクに小さく」動かすことも意識してみてください。

ストレッチでは固まった筋肉はゆるまない

私は、背中の筋肉をゆるめるための簡単な動作をみなさんに紹介していきますが、いわゆる「ストレッチ」とは少し異なります。

軽いストレッチは筋肉をゆるめるために良いのですが、痛いのをがまんして、思い切り筋を伸ばすようなストレッチは、今すぐやめてください。ストレッチで筋肉は柔らかくなりません。むしろ、筋肉が固い人ほど、無理に伸ばすとさらに固くなってしまいます。