相手の存在が「自分の心の状態」に強く影響している

“わかってほしい”が強くなる理由は、それだけ相手の存在が自分の心の状態に影響するからでしょう。

お互いの存在によって心のバランスが保たれたり乱れたりしていて、関係性が近過ぎているのかもしれません。

だから「わかってくれたら好きでいられるのに」「あなたさえわかってくれたら、私は癒されるのに」と強い思いになるのだと思います。

この思いが悪いわけでは決してありません。

ただ、ケンカが頻発してしまうのであれば、お互いに相手の感情や言動に反応し過ぎてしまっているのかもしれません。

このような場合、わかり合おうとする前に、ケンカをヒートアップさせないことがまず大切になることが多いように感じます。

「自分も相手もわかってほしい気持ちが強いのかも」と考えてみるだけで、ケンカになったときに冷静さを取り戻せる確率が上がります。言い合いになっても、エスカレートしてしまう理由を知っていれば、それだけでさらに傷つけ合ってしまうことの歯止めになります。

写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

「相手と今後どうなりたいか」で行動を選択するといい

加えて、「“自分をわかって”と思っているから衝突してしまうのだ」と思い当たったら、お互いに落ち着いた状態のときに、この心境を相手である親とも共有するとさらに効果的です。

お互いに自分の心境に気づく関わりを共有できると、激しい衝突は防げるようになり、双方の理解が深まることで関係性が良い方向に向かうように思います。

そうはいっても、冷静な話し合いは親に期待できないことも多いですし、言い合いはそれぞれの大切な気持ちがあるからこそ生じるものです。そのため、初めから「こちらが折れよう」と決めるのではなく、「親には伝わらないかもしれない」ことも踏まえたうえで、改めて自分の行動を検討する段階が必要になります。

激しい言い合いになることも覚悟で言い続けるか、徒労を避けて穏やかな関わりを優先するか、感情は込めずに淡々と言うことを試してみるか……。自分はどう思っていて、相手と今後どうなりたいかによって行動を選択できれば、結果的に以前と同じ行動になったとしても、納得感はまるで変わってきます。