妹の出産をきっかけに、母親とケンカをするように

Cさんは、親元から離れて平穏に暮らしていましたが、妹の出産をきっかけに、母親と妹の仲の良さに嫉妬のようなモヤモヤを感じ始めるようになりました。

Cさんは彼女たちと出かけるときはそれなりに楽しく過ごせるものの、別れた後に「母ともっと話せばよかった」「母にはこう言われたけど、本当は違うのに伝えられていない」という思いを募らせるようになってしまいました。

「母にわかってもらえていない」と感じることが、増えてしまったのです。

そこでCさんは、ラインでその旨を母親に伝えることにしました。

Cさんとしては勇気を持って本心を伝えたのですが、母親からの返事は「それはこうしなさい」という助言であったり「そんなつもりじゃない」という否定であったりしたために、お互いにライン上で言い合いになることが繰り返されるようになってしまいました。

そのため、Cさんはますます母親に対して不満を強めていきました。

その後も、母親に対しての不満や「妹ばっかり」という嫉妬心が強く出てくるたびに、Cさんはラインで長文を送るようになりました。

けれど、母親からの返信はやはり反論であり、「やっぱりわかってくれない」という憤りと寂しさを募らせていきました。

本当は母親と2人で過ごす時間が欲しかった

Cさんは気持ちを伝えてもケンカにしかならない現状に対し、「もう母には連絡しない!」と決めたものの、やはり気になります。

そこで、カウンセリングに母親も一緒に来てもらうことにし、Cさんと母親とカウンセラーの3人で話し合うことにしました。

寝子『「親がしんどい」を解きほぐす』(KADOKAWA)
寝子『「親がしんどい」を解きほぐす』(KADOKAWA)

Cさんは、初めは母親への不満ばかり話していたものの、だんだんと「アドバイスをしてほしいわけじゃない。黙って聞いてほしいだけ」と自分が望んでいることがわかり、母親に伝えることができました。

一方で母親は、「私はラインが苦手で、ラインで送られると何か言わなきゃと思っちゃう」と話し、それはCさんにとって全く想像していなかったことでした。

母親は、「ラインだと話し合えない。私は直接会って話したいし、会うのが無理ならせめて電話がいい」とCさんに伝えました。そこでCさんは初めて、「母は私の気持ちを聞くことが嫌だったわけではないのだ」とほっとしたのです。

そこで、Cさんがラインで気持ちを母親に伝えたいときには、「母の返事は一言で良しとし、一往復に留める。それ以上は会ったときにする」というルールを2人で共有しました。

加えて、月に1回くらいは、きょうだいなしで母親とCさんだけで外出しようということも決めました。

それを数カ月続けていくと、Cさんは「なんだか満足しました」と、朗らかな表情になり、当初の強烈な母親への怒りは「どこかにいった」と嬉しそうな笑顔を見せるようになりました。

Cさんは、「私の気持ちを母にわかってほしいと思っていたけど、本当は2人で過ごす時間が欲しかったんだとわかった」と新たな気づきを得られ、穏やかさを取り戻して過ごすことができるようになったのです。

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