初の行方不明…自分がどこにいるのか分からない

介護認定の結果は、要支援2。家事支援をメインに週2回のヘルパーと、リハビリメインに週1回の訪問看護を受けることに。生後間もない息子の世話は妻だけでは難しいため、緋山さんが在宅勤務をしながら行った。

2020年7月。緋山さんは妻に、いつものスーパーとは違うスーパーに買い物を頼んだ。すると妻は2時間経っても帰ってこない。

心配になった緋山さんは、妻のスマホに電話する。電話に出た妻は、どうやら財布の入ったカバンを失くしてしまった挙げ句、自分がどこにいるのか分からなくなり、自転車でさまよい続けていたと言う。

「電話はカバンに入れていなくて助かりました。電話がつながらなければ捜索案件になっていたかもしれません。助けに向かったところ、幸いカバンは良い人に拾われて交番に届けられていましたが、もう今後はイレギュラーなことは1人でさせられないなと反省しました」

写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

このとき、緋山さんは生後2カ月の息子を家に置いたまま出かけるか、首がすわる前でも使える抱っこ紐で自転車に乗るか数分悩んだ結果、後者を選択。

「歩いて探しに行くには遠い場所で、仕事の都合もあったため苦渋の選択でした。結果的に何もなかったから良かったですが、妻の捜索が難航したら息子も大変だったかもしれません」

妻が認知症と診断されて以降、同じ物を何個も買ったり、息子のミルクの時間を間違ったりといったトラブルはあった。その度に緋山さんは、「やっぱり認知症なんだな」と実感しつつも、「これくらいならまあ許容できる」と感じていた。しかし、「ヤバい!」と確信する事案は突然起こったのだ。