ワンオペワーパパ「ワンオペワーママは本当にすごい」

2020年6月。コロナ禍だったために延期されていた3歳の娘の幼稚園の入園式が、6月中旬にようやく行われることになったとの連絡が来た。そして入園式前日、妻から「入園関連の書類がどこにいったのかわからない」と言われて緋山さんは愕然。心当たりを探して何とか見つかったが、封筒の中の書類は真っ白。今まで子どものことはほとんど妻任せだった。

「『冬にあった入園説明会からなんも用意してなかったんかい!』と心の中で突っ込むも、時すでに遅し、でした。書類の作成や持ち物への名前書きなど、夜中の2時までかけて1人で必死に準備しました」

入園式は無事終わったものの、翌日からは毎日の送迎が始まる。

駆け出す園児たち
写真=iStock.com/paylessimages
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産後からしばらくは妻の母親が来てくれていたため、家事も生まれたばかりの息子の世話も義母に任せていた。だがそこまで家を空けられず、1カ月ほどで帰ってしまった。

「家事と育児とテレワーク勤務、娘の送迎だけでなく、片付けや洗濯、娘の持ち物の準備など……。今はどうやっていたのか全く思い出せません。世の中のワンオペワーママは本当にすごい。もっと評価されるべきだと思います」

妻は母乳が出なかったため、完全ミルク育児だった。哺乳瓶は消毒しておき、決まった時間にあげなければならない。生後しばらくは昼夜関係なく数時間おきに欲しがるため、常に寝不足だった。妻は時間がわからなくなっていたので、緋山さんがミルクを作り、妻に渡して息子に飲ませていた。

オムツ替えや服の着替えは、緋山さんの見守りつきで妻がやっていた。お風呂上がりの保湿クリームを塗ることも、まだなんとかできていた。

「娘の時は里帰り出産だったし、妻主導で大抵のことはやってくれていたので、オムツやミルクなど、必需品を切らさないようにすることも、初めの頃はタイミングが分からず困りました。『これを産後のママ1人でやるのって無茶だ。やっぱり育児は夫婦2人やるべきだよな』と感じ、娘の時に任せきりだった分、『息子の世話は自分が頑張ろう』と思いました」