世帯年収1000万円以下でも「億ション」を買える?

たとえば、1億円のマンションを「50年ローン」で買うとどうなるのか、フラット50の金利でシミュレーションしてみましょう。

フラット50は2.2%程度ですので、この金利で計算すると月々の返済額は27万4948円、年間返済額は329万9372円となります。年間の返済額は年収の35%を上限とした場合、329万9372円÷35%=942万6777円となります。

つまり、年収が943万円程度あれば、50年ローンで1億円を借りることができます。(条件によっては世帯年収換算でもOKになる可能性があります。)

いままでの35年返済であれば、年収が約1200万円程度でなければ1億円を借りることができませんでしたが、50年ローンを組めば年収1000万円以下でも億ションを買えるということになります。そう考えると、50年ローンの出現で億ションのハードルは下がったといえるでしょう。

ただし、この数値は現実味がありません。例えば、マンションの場合にはローン返済額の他に管理費や修繕積立金、固定資産税もかかります。そう考えると実質収入の約半分は住宅を維持するコストになり、残りの手取り収入で生活のすべてをやりくりする格好になります。就学中のお子さんがいれば、なおさら非現実的になることは想像がつくでしょう。

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「完済するのは92歳まで」という地銀も

50年ローンは、ネット銀行の住信SBIネット銀行が今年8月から取り扱いを始めており、広島銀行や西日本シティ銀行、常陽銀行、福井銀行などの地方銀行の参入が目立つようになりました。

返済期間は最長50年として、何歳までにローンを完済する必要があるのでしょうか。おおむね、各金融機関の条件としては、申込時の年齢が18歳以上70歳の誕生日まで。完済時の年齢については、例えば、宮崎銀行のように最長の完済年齢92歳、というものもありますが、80歳の誕生日までとしている金融機関が多く見受けられます。

したがって、92歳完済であれば42歳で、80歳完済であれば30歳で50年ローンを申し込みすることが可能と言えます。

50年ローンを取り扱いしている金融機関の例

住信SBIネット銀行 お借入条件|WEB申込コース

フラット50 【フラット50】:長期固定金利住宅ローン

西日本シティ銀行 最長50年住宅ローン

もみじ銀行 住宅ローン

広島銀行 スーパー住宅ローン

福井銀行 新規で住宅ローンをご検討中のお客さま

このように、各地方銀行が参入するのには、それなりの懐事情を垣間見ることができます。