「チラ褒め」で部下の心をワシづかみ

「褒め上手」というのも、上へ上がっていく人に共通する特徴です。ただし、決してあからさまな褒め方はしません。

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部下の関心が集まる飲み会での言動

たとえば、ふとした会話の合間などに、

「この前の報告書、あれは良かった」

と、チラリと一言だけ褒める。あるいは、

「こいつの息子、今年の春医学部に合格したんだよ」

などと、ホステスに向かって、部下の家族のことを軽く褒めたりする程度。部下の家族の事情に精通しているのも出世をする人の共通項ですが、こうしてチラリと褒めることによって彼らが何を意図しているかといえば、「自分の言動を部下に気にさせようとしている」のです。

部下とは、常に上司の評価を気にしている存在です。では、そんな部下という生き物の心をワシづかみにするにはどうすればいいでしょうか。部下を褒めすぎれば、舐められてしまいます。しかし、まったく褒めなければ、部下に関心がない上司ではないかと思われてしまう。だからこその、「チラ褒め」なのです。

チラ褒めされた部下は、上司が自分に目をかけてくれていると感じます。しかし、決して「おまえは完璧だ」と褒められたわけではありません。完璧だと評価されるためには、もっと仕事をして、もっともっと上司に認めてもらわなくては……。チラ褒めされると、部下はこうした心理に陥ってしまうのです。

権力を握る人は、チラ褒めすることによって「たくさんの部下が自分の言動を気にする状況をつくり出していく」ことに長けています。自分の言動を常に気にしている部下が、権力奪取のために身を挺して立ち働いてくれることは言うまでもありません。チラ褒めこそ、人心掌握術の肝だと言っていいでしょう。

このように、権力を握ろうと野心を燃やしている人は、お酒の席でも気を抜くことなく頭を働かせています。心底寛いでお酒を楽しむということは、ほとんどないと言ってもいいでしょう。そして、ひとりで飲みにこられることもまずない。仕事と関係のないお酒はムダだからです。

この人はそこまでして権力を手に入れたいのか……。そんなふうに思うこともあります。でも、それが見えてしまうと、いじらしくてかわいくて、当店にいらっしゃる限りはなんとかお手伝いしたいと思ってしまうのです。

クラブ「ル・ジャルダン」オーナーママ 望月明美
東京都生まれ。上場企業の社長・役員や政治・芸能関係者を顧客とし、経営者として、人材育成面でも注目された。著書に『銀座ママがそっと教える「空気が読める人」の会話術』などがある。
(構成=山田清機 撮影=二石トモキ)
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