色が持つ「イメージ」を活用できていない

色には決まった性質や心理効果があり、その色を見た人が抱くイメージもそれぞれ異なります。色選び次第で資料のコンセプトや内容がより伝わりやすくなるものの、初心者は色を上手く活用できていないケースが多いです。

例えば、基本的な色である赤・青・緑には次のような意味があります。

・赤
性質…………進出色、興奮色
心理効果……注目させる、恐怖心を与える など
イメージ……生命力、愛情、情熱、興奮、危険、刺激、怒り、暖かい、賑やか など
・青
性質…………後退色、寒冷色
心理効果……集中力を高める、体感温度を下げる など
イメージ……清潔、信頼、冷静、集中、寂しさ、落ち着き、悲しみ、さわやか など
・緑
性質…………鎮静色、重量色
心理効果……心を落ち着かせる、血圧を下げる作用がある など
イメージ……自然、リラックス、やすらぎ、穏やか、癒やし、健康 など

有彩色だけでなく無彩色にも意味があり、特にやさしい印象や落ち着いた印象を与えられるグレーは、どんな色にも組み合わせやすい万能カラーです。配色を行ううえで、白や黒を使うと資料内の写真・イラストのイメージが変わってしまうときは、グレーを使うと解決することがあります。

白に近いグレーと黒に近いグレーを比べると、印象が違うことが分かります。資料に使う場合は微調整しながら読み手が受ける印象を検証してみてください。

2つの色が合わさることで意味が変わる

デザイン研究所『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)

なお、色単体の意味に加え、2つの色が合わさることによって意味が変わる組み合わせも存在します。黄色×黒色だと注意喚起、赤色×黒色だと強いメッセージ性や洗練、といった具合です。

上記のような色が持つ意味をすべて覚える必要はありません。デザインを行う際にネットや配色表などを使って調べてみましょう。

また、身の回りにあふれるデザインや風景を見て、使われている色から受ける印象を自分なりに言語化してみると配色の勉強になります。例えば次のような繁華街を目にしたとき、プロのデザイナーは普通の人とは異なる思考を巡らせています。

配色には意味が込められていることを理解できていると、赤い看板を見て「赤色を使うことで食欲をそそっているんだな」「目立たせて安さを訴求する効果もありそう」、入口の赤いネオンを見て「日本を代表する街だから国旗と同じ赤色なのかな」「歌舞伎の隈取くまどりに由来しているのかも」という風に考察できるはずです。