岸田政権の政策は全く異次元ではない

他にもまだ、考えねばならない「心」の問題があります。

それは、「未婚の父母」「血のつながらない子ども」「性的少数者の受け入れと彼・彼女らの子作り」……。

日本人がいまだに少なからずアレルギーを持っているこれらの事象にも、そろそろ結論を出さねばならないでしょう。

お金や、出会いの確率などの話に終始しがちな日本の少子化政策も、そろそろ「心」の問題に本格的に取り組んでほしいところです。

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今回は、連載を振り返りながら、問題の整理と解決策を考えていくことにいたします。

既に連載に記した処方箋なども含め、分かりやすい部分から始めます。

まずは、女性のみが抱く「30歳の焦燥」をなくす

「女性は早く結婚して早く産むべき」という話を平気で語る風潮が日本にはあります。

その裏には、「生物学的に妊娠・出産は若いほうが絶対的に有利」という常識があり、そして、「キャリア面でも、体力のある若い時期に出産をしたほうがよい」という考え方があるのでしょう。

とはいえ、これは女性だけ心を重くさせる「産めハラ」「嫁(い)けハラ」に他なりません。

私は、こうした示唆が行き過ぎたため、かえって未婚化や少子化を進めていると私は考えています。

まず、男性は、「早く結婚して早く産む」必要性は女性ほど高くはないのだから、明らかに非対称性が生じます。そこから、「結婚・出産を急ぐ女性の圧力」に耐えられず、破談となる可能性も少なくないでしょう。

そして、この論に従うと35歳までに相手を見つけられなかった女性は、もう出産を諦めるしかありません。

しかも、この説法にはある面、自己矛盾が見て取れます。お説の通り「キャリア第一」であるなら、結婚や出産などしないほうがよいとも言えるからです。自分のキャリア形成に役立つ男性を若年時に探し出し、我慢してその男性と結婚し、早々に子どもを産む、などというなかなか面倒な人生より、結婚しないほうが明らかに合理的でしょう。

こうして優秀な女性の未婚化が進んだのは、第12回で示した「高年収女性の生涯未婚率がことのほか高い」ことからも証明されるでしょう。

この「30代女性のあきらめ」が、自身の人生設計の自由度を奪うだけでなく、社会的には未婚化と少子化を進めているということを、データで示していくことにいたします。