指導者の低学歴は日本の悪しき伝統

ゴルバチョフ以降のソ連・ロシアの指導者を見ると、ゴルバチョフは最難関であるモスクワ大学、プーチンとメドベージェフは名門レニングラード大学(現サンクトペテルブルク大学)の法学部。エリツィンはウラル工科大学の建築科、ミシュスチン首相もエンジニアだ。

中国の国家主席では、江沢民は上海交通大学、胡錦濤と習近平はいずれも清華大学出身のエンジニアである。首相も李鵬、朱鎔基、温家宝がエンジニアで、李克強は北京大学法学部、李強は農業エンジニアである。社会主義国ではエンジニアが経済運営の中心にあることの伝統を引き継いでいるといえる。

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このようにまとめてみると、いかに日本の歴代総理の学歴が低レベルであるかが理解できるだろう。指導者の低学歴というのはこの国の悪しき伝統であり、政界に限った話ではない。

江戸時代の教育水準が高かったとかいう人がいるが、仮名(かな)というものがあるので低レベルながら読み書きができる人が多かっただけだ。武士は藩校で九九すら教えられなかったから、プロの官僚ないし軍人の役割は果たせず、勘定方とか兵法学者といった世襲の職人集団が担っていた。

日本人の留学熱、学習意欲はすっかり冷めている

戦前の旧制高校は一般教養を学ぶにはよかったが、帝国大学で初歩的な専門知識を得た後、官僚になってから仕事や海外勤務での見聞を通じて海外事情についての知識を補った。軍人も軍の大学で学部レベルの勉強はするが、その後、海外で武官として最新知識を得た。

戦後の官僚や企業幹部も、国内では大学院に進まず、大学院レベルの学びは海外留学に頼っている。経済産業省作成の資料によると、日米の時価総額上位100社の経営者のうち、日本では84%が学部卒で大学院修了は15%。米国は67%が院卒で、博士課程修了者も1割いる。

しかも、留学組が政界でも経済界でも優遇されているかといえばそうでもない。さらに、日本人の留学熱はすっかり冷めている。

明治初期は留学熱がすさまじかったのに、国内の教育体制が整備され、そこそこの勉強ができるようになると、それで満足してしまった。