初回視聴率15.4%「どうする家康」は期待を裏切れるか
戦国時代や幕末・明治維新などの純然の歴史ものは人気が高いが、現代にちかい大河は関心がいまひとつ高まらないと従来から言われていたが、それを実証するかたちとなっている。
視聴率の推移を見ると2000年代には20%前後だったのが最近は12~14%とやや低下傾向にある。ただし、最近は、ハードディスク録画が普及して録画視聴も増えている影響もある。
例えば、2017年の「おんな城主直虎」から2022年の「鎌倉殿の13人」にかけ、リアルタイム視聴率は12.8%から12.7%へと若干低下しているが、リアルタイム視聴と録画機能を使ったタイムシフト視聴のいずれかで視聴されたことを示す総合視聴率では、17.3%から20.2%へとむしろ上昇している。
総合視聴率は「おんな城主直虎」以降に発表されている値なので、図表2では従来のリアルタイム視聴率で表示しているのである。
若者の中にはテレビを持たない層も増えており、そうした点も踏まえるとこうした視聴率の推移からは、国民の歴史好きに応える形で放映されているNHK大河ドラマへの関心はなお高いと結論づけられよう。むしろ、大河ドラマが国民のテレビ離れを抑止する最後の手段となっているとさえいえるかもしれない。
図表2には初回視聴率の推移も掲げ、初回と期間平均との視聴率の差を「期待はずれ度」として表示した。
これを見ると2006年の「功名が辻」や「篤姫」のように事前期待がそれほど高くなかったのに実際は堅調な視聴率を維持し、初回より期間平均の方が高視聴率になったケースもあるが、ほとんどは多かれ少なかれ期待はずれとなっている。2010年以降では2018年の「西郷どん」は期待があまり高くなかったせいか期待はずれ度は最低であり、逆に最大は「いだてん~東京オリムピック噺~」だった。
「どうする家康」の初回視聴率は15.4%と低かったが、今後はどうなるだろうか。今のところ、期待を大きく裏切る視聴率の上昇は見込めなさそうである。