高報酬ばかり狙っていると落とし穴がある

ただし、ストックオプションによるインセンティブは、実現されないこともあるため、転職のモチベーションとすることはあまりおすすめではありません。

例えば、PEファンドがプロ経営者を招聘し、ストックオプションのインセンティブを設計する際には、ある一定のハードルが課せられるケースがほとんどです

例えば利益が○○円以上になる、企業価値が○倍以上になる、PEファンドのリターンが○○%を超えた場合、等のハードルです。企業の事業活動においては、社長本人の責任に帰する事項もあれば、コロナ禍のような不可抗力により、減収となる場合もあるのです。

結局のところ、報酬ばかりを求めて経営に携わるような方では、真の価値の発揮もできないことは忘れてはいけません。

CxOに必要なのは専門性とマネジメント能力

CxOを志向する人は、それぞれの専門分野の専門性を高めていくことが大切です。成果を出すフィールドが、CFOであればファイナンス、CHROであれば人事領域ということになります。

この専門性の上に、ゼネラルマネジメント(包括的な管理業務)の要素が必要とされます。職人的に専門性を極めて行く中で、人を動かすマネジメント能力が求められるのです。

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CxOになるような人材は、若い頃からそうした志向性を持ちながら、3年や5年を1つのスパンとして、自身のキャリアの見直しを行っている人が多い傾向が見られます。

その中で、自分1人で判断せず、周りの信頼できる人の話を聞きながら、足りない経験やスキルを伸ばすために自ら活躍する場を選んでいきます。

CxOの中でも、CFOやCHROはそのままファイナンスや人事の分野を極めて専門家になっていく傾向があり、CSOやPL(Profit and Loss/事業の損益結果)の責任者となるようなCxOのポジションを得た人は、プロ経営者を目指す方が多い印象です。

ただ、これもあくまで人材市場の傾向に過ぎず、例外もたくさん存在します。専門性を極める過程で経営感覚や視点を得て、やがてCEOを志向するようになる人もいます。