日本企業でも社外から経営者を招聘する「プロ経営者」が増えつつある。人材コンサルタントの荒井裕之さんと慶應義塾大学SFC研究所の小杉俊哉上席所員の共著『プロ経営者・CxOになる人の絶対法則』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部を紹介する――。

ビジネスマン
写真=iStock.com/Tom Merton
※写真はイメージです

叩き上げでも起業家でもない第3のルート

かつての日本企業では、新卒で入社した会社で順調にキャリアを積み重ねていくと、課長から部長、役員へと出世していきました。そして最終的には、社長へと上り詰めていきます。

終身雇用が約束され、1社で勤め上げることが前提だった時代では、王道のルートとして誰も疑うことはありませんでした。このような「叩き上げ人材」として経営者になる人を、本書では「サラリーマン経営者」と呼ぶことにします。

ほかには、自ら事業を興し、一代で「起業家」として経営に携わる人もいます。

近年では、より一層「個の時代」を色濃く表すルートとして、会社員を経験せずにいきなり起業に挑戦するケースも増えてきました。

そして、1つの会社組織の中で役職を積み上げるのでも、起業家として経営に携わるのでもない、第3のルートがあります。

適切なタイミングで転職し、若い頃からチャレンジングな組織の環境に身を置き、そこで積み上げた経験を生かし、いち社員としてではなく「経営人材」として招かれるケースです。

2000年代に「プロ経営者」「CxO」が登場

このように、外部から招聘しょうへいされて経営者になる人のことを、「プロ経営者」といいます。昨今ではこのプロ経営者を含めて、営業やマーケティング、ファイナンス、情報システム、人事、経営企画、製造など各機能の責任者として任命される「CxO」という役割も一般的になってきました。

本書でお伝えしたいのは、この「プロ経営者」と「CxO」を担える人材が、いかに世の中から必要とされているかということです。

外に目を向けると、アメリカでは外部からのCxOの起用は昔から行われていました。日本でプロ経営者やCxOが見られるようになったのは、主に2000年代頃からでした。

日本でこの当時から経営人材が増えたのはなぜでしょうか。

その背景には、バブルの崩壊が関係しています。1990年代以降、日本企業が苦境に立たされる中、欧米型のマネジメントシステムを導入し、大企業を中心に企業変革を図っていったのです。特に外資系企業の場合、外部からプロ経営者やCxOを招聘するのはより一般的になりました。